ITmedia NEWS >

写真+GPSがもたらす世界小寺信良(3/3 ページ)

» 2006年10月30日 13時47分 公開
[小寺信良,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

これはどこまで行くのか

 地図と写真を組み合わせるだけで相当楽しいわけであるが、中には何が楽しいのかさっぱりわからないという人もいるだろう。一般に広く言われるように、女性は地図を読むのが苦手というのが真実ならば、少なくとも世の中の半分の人はこのソリューションに興味がないということになる。

 これが使える技術か、はたまたスキモノだけが喜んでいる世界なのかの分かれ目は、一重に実用性があるかどうかにかかっている。写真と位置情報を組み合わせるその先には、どんな世界があるのだろうか。

 その答えは、逆引きにあるのではないかと考える。今存在する写真と位置情報から得られるものは、「この写真がどこで撮られたものか」を探すことにある。つまりそれは、写真に対して付加価値を付けることにはなるが、写真の管理ということにはつながらない。

 しかし逆ができればどうだろうか。すなわち地図上でこのあたり、と指定することで写真が探せるとしたら、カレンダーによる日付管理とはまた違ったフェーズでの写真管理も可能になるのではないかと思われる。

 そしてそのもっと先には、写真を共有することで、世界中の風景を居ながらにして見ることができるということに繋がるのではないか。例えば「Flickr」のようなサービスには膨大な量の写真が共有されているわけだが、これらと地図が結びつくとしたらどうだろう。

 そのキーは、強力な検索エンジンとマップデータを保持している、Googleが握っている。つまりGoogleが世界地図と詳細な航空写真をわれわれに提供する代わりに、われわれはその地域で取った写真を提供するわけである。これが相互に結びついたとき、ネット上に「世界のコピー」が誕生するのではないか。

 インターネットと検索エンジンの発達により、われわれはテキストに落とし込まれた知識の共有を行なうことができるようになった。そして次は、非テキスト化された情報の共有にステップアップする時期にさしかかっている。そのためには、映像、写真、音楽に埋め込まれたメタデータの生成と管理技術が、必須条件になっていくはずだ。1万5540円のGPSユニットを眺めながら、そんなことを考えるのである。

小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.