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より使いやすく快適に――キヤノン「EOS Kiss Digital X」レビュー(2/5 ページ)

» 2006年11月17日 11時21分 公開
[小山安博,ITmedia]

30D相当の撮影機能

 撮像素子は有効画素数約1010万画素のCMOSセンサーを搭載。1クラス上のEOS 30Dが820万画素だから画素数的には下克上ということになる。映像エンジンはいつも通りのDIGIC II。その直後に出たコンパクトデジカメ群でキヤノンは映像エンジンをDIGIC IIIに進化しているが、Kiss D XはDIGIC II。もっともすでに定評のある映像エンジンではあるので、とりあえず安心して使える。

 撮影機能としては、Kiss D Nに足りなかった部分を向上させ、EOS 30Dの機能を存分に取り込んでいるので、撮影で不満に感じる分はそんなに多くない。

 特にAFセンサーがEOS 30Dと同じ9点測距AFになり、中央にF2.8対応中央横センサー、F5.6対応2ライン測距中央縦センサー・F5.6対応中央横センサーのクロスセンサーを搭載しているので、これまでより確実にAF精度は向上している。

photo AF測距点は9点。AFセンサー自体のスペックは30Dに追いついている

 その反面、やはりファインダーの質には疑問を感じる。ペンタダハミラー使用、視野率は上下左右95%、倍率は約0.8倍で、スペック的にはKiss D Nと変わらない。AFは、たまに迷ったり外したりすることもあるが、それほど目くじらを立てるほどではない。しかし、外したかどうかをファインダーから確認したり、AFが合いにくい場面でMFをするのが難しいのはちょっと困る。

 このあたりのキヤノンのポリシーは徹底していて、撮像素子がAPS-CサイズのKiss D、30DでのMF撮影は二の次で、あくまでAF撮影を中心にして欲しいという訳なのだが、もう少し改善されるとうれしい。

 初心者はAFがメインとはいえ、慣れてくればMF撮影もしたくなるだろうし、だからといってKiss Digitalを使うような、特に主婦層あたりがMFがしやすいからといって5Dや1D系を購入するとは(あまり)思えない。写真文化というポリシーからいくと、AFが高精度でMFもしやすいKiss Digitalを実現することが重要だと思うのだが。

 いずれにせよ、AF撮影に関してはKiss D Nからは順当な進化を遂げており、通常の場面では高精度に合焦し、しかも適切なレンズを使えば、とにかく速い。

 撮影機能としては「ピクチャースタイル」の採用も大きなポイント。RAWメインで撮影するユーザーにはあまり関係がないが、Kiss D Xのように「撮って出し」がよく使われそうなカメラにはけっこう有効な機能だと思う。

photo ピクチャースタイルの選択画面

 スタンダード、ポートレート、風景、ニュートラル、忠実設定、モノクロに加え、キヤノンのサイトから新しいピクチャースタイルもダウンロードできるので、状況に応じて使い分けると楽しいだろう。デフォルトでは十字キー中央のSETボタンにピクチャースタイルが割り当てられているので、素早く変更することができる。

 ピクチャースタイルについてはすでにEOS 5Dのころからキヤノンのデジタル一眼レフの定番機能になっているので特に目新しくはないが、ポートレート設定のまま花を撮ってしまったとか、使い分けを間違えなければ便利な機能だ。

 それ以外、連写性能が最高約3コマ/秒・JPEG(ラージ/ファイン)で約27枚、RAWで約10枚で多少30Dよりはバッファメモリが少ないようだが、撮影機能としてはかなり30Dに近い。30Dとの違いは、背面のダイヤルがなかったりボディデザインが違ったりと、機能だけみれば30D相当といっても良さそうだ。

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