もうひとつの新モード、シャッター速度&絞り優先モードは、感度優先モードの逆だ。ユーザー側でシャッター速度と絞り値を設定すると、カメラが最適と判断した感度へ自動的に決まる。従来のシャッター優先モードと絞り優先モードの2つをミックスしたモードといってもいい。
先ほどと同じように、光量が乏しいシーンをストロボを使わずに撮るケースをもう一度考えてみよう。明るさが一定であれば、従来のマニュアル露出モードを利用し、絞りとシャッター速度、感度の3つをそれぞれ固定させるのが最も確実な撮り方かもしれない。だが、例えば屋外で、場所によって光量が異なるシーンをスナップ的に撮りたいときや、コンサート会場のように照明が目まぐるしく変化する状況では、必ずしもマニュアル露出モードが得策とはいえない。
人によってモードの選び方は当然異なるが、これまでの私なら絞り優先モードにして絞り値を開放にセットして撮る。そうすれば、シャッター速度は明るさに応じて成り行きになる。あるいは、シャッター優先モードにして、ブレないギリギリの低速シャッターにセットする手もある。感度はあらかじめ高感度にセットするか、オート感度機能のある機種ならそれを使ってもいいだろう。
ここまでは、従来カメラでの使い方だ。K10Dのシャッター速度&絞り優先モードを利用して暗いシーンを撮る場合には、絞りを開放に設定した上で、シャッター速度をブレない程度の低速に固定すればいい。するとシーンの明るさに応じて、感度が自動的に高くなったり低くなったりする。
さらに露出補正の併用も可能だ。シャッター速度&絞り優先モードで露出補正を行うと、シャッター速度と絞り値を固定したまま、感度変更によって露出を調整できる。例えば、川や滝の水流、夜の道路を低速シャッターで動きとして表現したい場合、動感と被写界深度を一定に保ったまま、露出だけを変えられる。
もっとも、シャッター速度&絞り優先モードを使ったからといって、これまでにない特別な写真が撮れるわけではない。手順は異なるが従来の他の露出モードでも同じ結果を得ることは可能だし、当然ながら、シーンによって適時最適なモードを選べばいい。その撮り方の選択肢が増えたことが、新モードの意味であり、K10Dの面白さだ。
なお、このシャッター速度&絞り優先モードについても、実はまったくの新機能ではなく、近い発想の機能はこれまでの他社製品にもあった。例えばニコンのデジタル一眼レフ機では、マニュアル露出モードを選び、メニュー内の「感度自動制御」をONにすれば同じような効果を得られる。だが、新しいモードとして搭載し、どんな狙いかをきっちりとアピールしているという意味ではK10Dが一枚上といえる。
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