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ソニエリが目指す、“音楽ケータイ”の転換点――「SO903i」開発陣に聞く「SO903i」(ミュージックプレーヤー編)(1/2 ページ)

» 2006年11月29日 09時52分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの「SO903i」はポータブルオーディオプレーヤー「ウォークマン」や薄型テレビ「BRAVIA」の技術を盛り込んだことで話題の携帯電話だ。

 3インチという大型液晶を搭載しながら、折りたたんだ状態でも1.5インチの背面液晶と9つの操作キーが利用可能なそのスタイルは非常に特徴的。背面液晶とキーは基本的にミュージックプレーヤー専用のインタフェースとして機能するなど、“音楽ケータイ”も強く意識されている。

 携帯電話の高性能化が始まって久しいが、これほどまでに「AV機器」としての存在感を前面に押し出す製品は数えるほどしかない。開発元のソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズのスタッフに新製品の狙いや特徴を聞いた。

photo NTTドコモ「SO903i」
photo 左上段から時計回りにアプリケーション担当の阪東良仁氏、デザイン担当の平野晋作氏、プロダクトマネージャーの白川浩氏、ソフトウェア担当の佐藤伸二氏、商品企画担当の安達晃彦氏

“最強の音楽ケータイ”を目指して

 「SO903iは3つのAV――音楽、カメラ、ディスプレイ――を集結させたプレミアムAVケータイなんです」

 企画を担当した安達氏はSO903iのコンセプトについてそう説明する。「premini以降、ソニエリのドコモ端末といえば小型というイメージもありました。ですが、音楽や画像(カメラ)、ムービー、ゲームといったリッチコンテンツへ対応させるため、SO903iではボディと液晶を大型化させることになりました」

 「SO902iには正直、FOMAへの参入機というニュアンスも含まれていましたが、SO903iではリッチコンテンツの中でももっともソニーらしさを主張できる音楽にフォーカスし、“最強の音楽ケータイ”を目指して企画を進めました」(安達氏)

 ソニーで“音楽”といえば真っ先に頭に浮かぶのが「ウォークマン」だ。AV機能を強化したSO903iを手に取るユーザーが、この製品とウォークマンのイメージを重ねることは容易に想像できる。それだけに、SO903iのミュージックプレーヤーとしての機能や音質にはさまざまなコダワリが秘められている。

 ウォークマンにも搭載されている省電力化技術「VME」(Virtual Mobile Engine)を導入することで最大約47時間の音楽再生時間を確保したほか、音質面についても、ウォークマンに使用されているモノをベースに携帯電話用に改良したチップを搭載。各所に「ソニーのノウハウ」(安達氏)を反映させることで、専用機としても十分に利用に耐えるクオリティが確保されている。

 「携帯電話に音楽再生を利用する際、一番問題になるのはどれだけ再生時間を確保するか。VMEの導入でそれを解消したかったんです。音質についても、D/A(デジタルデータを音声(アナログデータ)に変換する部分)など詳細に至るまで留意しました」(白川氏)

“ウォークマンケータイ”ではないワケ、音楽ケータイの転換点となるモデル

 これだけ音楽に対して注力がなされていながらも、同社はSO903iを「ウォークマンケータイ」とは呼ばない。それは「音楽だけではなく、3つのAV(音楽、カメラ、ディスプレイ)を集結させたモデル」として位置づけているからだ。しかし、スタッフからは「ウォークマンケータイ」という枠にとどまらないポジションを狙う製品であることも伝わってくる。

 「“音楽ケータイ”という言葉が登場したのは、おそらくW31Sが登場したころからではないかと思います。そのころには携帯電話で音楽を聴くというイメージを誰も持つことはできませんでした。そこで、まずはスペック強化を進め、専用機に追いつこうとしました」

 「ですが、スペックで追いついても、操作性やファッション性が十分でなければ広く受けいられません。目指すのは、“SO903iで音楽を聴くのがカッコイイ”というスタイルの表現、確立なんです」(安達氏)

 「写真を撮る道具として携帯カメラが一般的になったように、音楽を聴く道具として間もなく携帯電話が一般的なものになると考えます。SO903iはその転換点となるモデルになると思っています」(白川氏)

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