まずは音楽を流しながら室内で装着、NCのスイッチをオンにしてみた。スイッチを入れた瞬間は一瞬だけダイナミックレンジが変化し、確かにNCがオンになったことが知覚できる。
他社製品に比較すると無音時の「サー」というNC動作音は平均的なレベル。音楽を流し始めれば小音量でもあまり気にならない。それでも気になれば、手元にあるNCユニットの電源をオフにするか、ミュートボタンを押せば動作音も即座にストップする。この手軽さはうれしいところだ。
いつも通り地下鉄の構内と車内で試用したが、「ゴーッ」という走行音やガタンゴトンとゆれる車輪の音、ホームへ入る際の空気音まで、車内で聞き取れる低い騒音がかなりカットされる。手元にNW-S703Fがあったので、交互に試用してみたが、キャンセル効果はほぼ同レベルと感じた。手元のスイッチでNC機能を即座にオン/オフできるぶんだけ利便性は高い。
NCオン時の音質についても、NW-S703Fと同様の傾向を持つ。大口径ドライバの恩恵か、高域から低域までスムーズに再生し、中低域の厚みも十分。ただ、比較的中低域を重視するという傾向もそのまま継承しており、もとから低域の厚いソース(ジャズやバラード)ではブーミーまではいかないが、低音多加にも感じられる。どちらかといえばスピード感の要求されるロックやポップスに向くキャラクターを持つともいえる。
インナーイヤータイプということもあり、これまで試用した製品(ボーズの「QuietComfort2/3」、東北パイオニアの「SE-MJ7NS」、JBLの「JBL Reference 510」)に比べるとヘッドフォンユニット自体の遮音性能は低く、地下鉄内でのキャンセル効果は弱めに感じる。
欲を言えば、NW-S7xxに用意されているNC効果のレベル設定機能(集音マイクの感度を調整することで30段階に調整可能)や音量調整ダイヤルも欲しかったところだが、それは次回製品へのリクエストにしよう。
ただ、インナーイヤーヘッドフォンと小型NCユニットを組み合わせることによって、全体のサイズを日常的に携帯・利用できるまで小型化したことは大きなメリットだ。今年に入ってNCヘッドフォンが数多くリリースされているが、その多くがオーバーイヤー/オンイヤータイプであり、インナーイヤータイプは筆者の知る限り本製品だけだ。
最近では街中で利用する人も増えたが、存在感のあるオーバーイヤー/オンイヤータイプを外出時に利用することに抵抗を感じる人も多いはず。日常的に携帯し、利用できる大きさまでサイズダウンを計った本製品は、初めてNCヘッドフォンを購入する人にも勧めやすい。
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