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Blu-rayとHD DVD、規格争いの現状(2/3 ページ)

» 2006年12月29日 20時17分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 一方、北米市場ではHD DVDが健闘している。北米でのプレーヤー販売は、まだ10万台に届いていないようだが、対応タイトルが非常に充実している。前述したようにユニバーサルのタイトルは魅力的なものが多く、ワーナーのタイトルも音声仕様がHD DVDの方だけにロスレス音声が入っていることがあるなど、“HD DVDの方がお得”という印象を持っているマニアも少なくないようだ。

 くわえてBDは、ローンチタイトルがあまりにも無惨な画質だった(→関連記事)。立ち上げ期に購入するユーザーは、ある程度のコダワリを持って高コストなHD DVDあるいはBD対応機器を購入している。そうしたユーザーに対してぶつけたタイトルが、HD DVDの初期タイトルよりも低画質だったというのは、明らかに戦略的な失敗である。

 その後、年末に向けて発売されているタイトルは、おおむね高画質だ。ディズニーや20世紀フォックスあたりのタイトルも悪くなく、中にはハッとする良いものもあるが、最初に発売されたタイトルの悪いイメージを(少なくともマニア層は)引きずっているようだ。

 HD DVDが北米で健闘している理由は他にもある。“DVD”という名称がキャッチーであること(単純にDVDが良くなったものという印象がある)、安価なプレーヤーがあることなど。まず序盤はHD DVDが予想以上に上手に消費者にアピールできたとはいえる。

photophoto 東芝は国内でも低価格なプレーヤーを投入。写真右の「HD-XF2」は、5万円を切る普及モデルだ

 一方、BDはPS3の北米での発売後も、大幅には売り上げが伸びていないことに失望の声もある。関係者は「PS3の効果が出てくるのは1月以降。まだ現在はBDパッケージソフトのタイトル数を増やし、流通への浸透を上げていく段階」と意に介さない。実際、ジワジワとBDの販売数は伸びてきているようだ。

 「北米で相当、お金をかけてHD DVDのプロモーションを支えている。いつまでその資金が続くか」という見方をするBD関係者もいるが、金銭でHD DVDを支えているという情報は入ってきていない。BD関係者の期待とは裏腹に、北米市場の規格争いは長引く可能性が出てきている。

 ひとつの鍵はユニバーサルの動向だろう。同社はHD DVD規格の立ち上げに際して、少なくとも2006年中はHD DVDのみにタイトル供給をするという契約があるという。ならば1月にもユニバーサルのBDへの参入発表がおかしくはない。そうHD DVD関係者に話をぶつけてみると「1月では早すぎる。しかし、いずれにしろHD DVDへの供給は今後も続けられるはずだ」と応じた。春ぐらいまでにユニバーサルが両規格に供給するようになれば、状況は一変する可能性はある。

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