コラム
» 2007年01月17日 16時00分 UPDATE

謎の新技術「Dolby Volume」とは? (1/2)

ドルビーがInternational CESで発表した「Dolby Volume」という新技術。CES会場外のホテルでデモを発見したので聞いてみると、これが非常に興味深い。世界中のテレビやデジタルオーディオ機器を席巻するかも?

[本田雅一,ITmedia]

 ドルビーはInternational CES初日に「Dolby Volume」という新技術を発表していた。ところが、この技術はドルビーブースのどこにも展示されていない。ドルビーには申し訳ないが「変な名前だし、帰国してから体験させてもらおう」と思っていたところ、会場からやや離れたホテルで、OEM先向けのデモンストレーションを行っていることがわかった。さっそくどんな技術なのかを聞いてみると、これが非常に興味深い。

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 ドルビーと言えば、かつてはノイズリダクションシステム、その後はサラウンドコーデックの技術をライセンスする企業という印象が強かったが、近年はバーチャルヘッドフォン、バーチャルスピーカー、それにカーオーディオ向け音声処理技術などを提供。コーデック企業から、広範な音響技術ライセンシーへと脱皮しようとしている。

 Dolby Volumeは、そうした昨今のドルビーを象徴する技術だ。この技術は、もしかするとかつてのドルビーNRのように、世界中のテレビやデジタルオーディオデバイスを席巻するかもしれない。

 Dolby Volumeの機能を簡単に言えば、音量制御をリアルタイムに自動調整するノーマライゼーション処理を行うものだ。たとえば、DVDなどのドルビーデジタル音声には、ダイアログノーマライゼーション係数というパラメーターが埋め込まれている。これはソースを交換しても、同じボリューム位置でセリフが同じような音量で聞けるよう、調整するための情報。ドルビーデジタル対応機器は、この係数を見てボリュームを合わせ、異なるDVDをかけた場合にもセリフ音量がほぼ同じになる。

 ただし、これは音響エンジニアがあらかじめ設定しているものであり、ソースが何かわからない状況でリアルタイムに音量を調整するものではない。

 通常、こうしたノーマライズ処理を行うにはいくつかのアプローチがある。ひとつはDN係数のようにパラメーターを埋めておくこと。そのパラメーターを生成するツールを使い、音声データ全体をなめた上でパラメーターを自動設定するツールをあらかじめ使っておくこと。音量を動的に上げ/下げすることでダイナミックレンジを圧縮するポンピングという手法を用いることなど。いずれにしても、完全に満足できるようなものはなく、特にリアルタイムで音質を落とさずにノーマライズするのは(全体のダイナミックレンジがわからない中では)無理と思われていた。

 しかしDolby Volumeは、全く新しいアプローチで、これを可能にしたのだという。単純にボリュームの上げ/下げを動的に行うのではなく、周波数帯域ごと音圧に対する感度が変化するなど様々な聴覚心理モデルを応用し、周波数帯域ごとにゲインを変化させながら、人間が感じる“音の大きさ”を揃えようとする。

 実際には単純な処理ではなく、音声を分析し、過去の履歴と比較しながら音量や周波数バランスを動的に取っていく。非常に多くのノウハウが含まれているため「詳しい内容は公開できない。しかし、体験してもらえれば、その効果は誰もがすぐにわかる」ということで、実際に体感してみた。

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