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“光が漏れる”サラウンドセットの誕生秘話――amadana新鮮だけど懐かしい(1/2 ページ)

» 2007年01月30日 12時31分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 「amadana」ブランドのデザイン家電を展開するリアル・フリートは、初のホームシアター製品としてドルビーバーチャルスピーカー搭載のサラウンドセット「DDA-134」を投入した。天然木材のウォールナットを多用し、アルミ製のフロントパネルには間接照明を取り付けたユニークな仕掛け。重厚な外観でありながら、どこか懐かしく、親しみやすい印象を与える製品に仕上がっている。その開発経緯と狙いについて、製品企画と開発を担当したリアル・フリート商品開発グループの太田潤氏に話を聞いた。

photophoto 「DDA-134」とリアル・フリートの太田氏。前面のアルミパネルとウォールナット製キャビネットの間からオレンジ色の光が漏れる

――まず特徴的な外観ですが、AVアンプやDVDプレーヤーにまで無垢ウォールナットを使用した理由を教えてください。

 昔、サイドウッドを取り付けたAV機器がありましたが、さらに遡るとオーディオ機器というのはキャビネット自体を木で作ることが多かったようです。amadanaのプロダクトデザインは、インテンショナリーズ(鄭秀和氏率いるデザイン事務所)が担当しているのですが、今回は昔のデザインを採り入れてレトロ感を醸し出しつつ、前面には現代風のアルミパネルを配して“木と金属の対比”を楽しめるデザインに仕上げました。AVアンプやDVDプレーヤーは、外装の一部に木材を後付けしたと思われがちですが、実際には短い木製キャビネットにアルミフロントパネルと金属筐体を組み付けた構造になっています。

 ウォールナットを採用したのは、比重が高く不要な振動を抑えることができるからです。実は、試作段階でMDF(合板)を使用してみましたが、やはり音が違う。スピーカーは高音がクリアに聞こえます。

photophoto スピーカーは、背面にも無垢ウォールナットを使用している(左)。AVアンプとDVDプレーヤーも一部にウォールナットを使っているが、実は木材の下に金属フレームなどは存在しない。本当に木材をキャビネットとして使用しているという

――間接照明というアイデアもユニークですね

 インテンショナリーズから私のところにデザイン画が来た時点で、既に間接照明が付いていました。アルミパネルの周囲がほのかに光り、ホームシアターを楽しむときにはインテリアライトとして使用できます。ただ、「光は(映画鑑賞の)ジャマになる」という人もいるでしょうから、ディスプレイとインテリアライトは明るさを2段階(+オフ)で調整できるようになっています。

――「DDA-134」は、amadanaブランドでは初の本格的なホームシアター製品になりますが、すべて自社開発なのでしょうか。

 ご存じの通り、われわれはファブレス(工場を持たない)メーカーですので、基本的には製品を企画して、ノウハウを持つ企業と共同で開発・製造するというスキームです。今回の場合、韓国のメーカーに設計と製造を委託する形を採りました。

 共同開発とはいっても、細かい部分までわれわれが手がけています。仕様はもちろん、ときにはデバイスレベルから新たに開発することもあります。たとえば「DD-134」のDVDドライブはスロットインメカニズムを採用していますが、市場にあるDVDドライブに性能的に納得できるものが見あたらず、結局新しく作りました。

――DVDドライブはパーツの中でも豊富なほうだと思いますが、具体的に不満を感じたのはどのあたりですか?

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 S/N比です。スロットインタイプはカーナビやPCに使われることが多く、ドライブにそれに合わせて作られていますから、純粋なオーディオ機器に組み込むとなると不足を感じることもあります。もっとも、S/N比といってもデバイスの話ですから、カタログのスペック表には載らない部分になりますが(スペック表のS/N比は製品レベルで測定したもの)。

 「DDA-134」は、当初から5.1chのサラウンドセットとして企画されたものです。しかし、私としては2chでもしっかり音を出せる――2chオーディオ寄りのピュアでフラットな音を目指しました。

――外観を見るとそれも納得できますが、逆に純粋な2chオーディオにしなかった理由は何ですか?

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