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スライドボディの“ネットワーク電子辞書”「DB-J990」の狙いインタビュー(1/2 ページ)

» 2007年02月07日 12時33分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 セイコーインスツルから一風変わった電子辞書が登場した。ソニーの「VAIO U」やウィルコムの「W-ZERO3」を想像させるスライドボディを備えた「DB-J990」だ。

photophoto スライドボディがユニークな「DB-J990」

 この製品が風変わりなのは外見だけではない。インターネットからダウンロードしたコンテンツやRSSで配信される情報も扱える能力を持つ“ネットワーク電子辞書”であり、その成り立ちや設計思想からして、いわゆる電子辞書とは一線を画している。

 同社で製品企画に携わった、パーソナル機器事業部 企画営業部 企画課長の鈴木利治氏と主任の斎藤淳氏に話を聞いた。

photo パーソナル機器事業部 企画営業部 企画課長の鈴木利治氏(右)と主任の斎藤淳氏(左)。斎藤氏が手にしてるのは、DB-J990の兄弟機「DB-260」。基本機能は同等だが、液晶のサイズ/解像度と音声機能の有無が異なる

実は電子辞書ではない「DB-J990」

 話の前に、DB-J990がどのようなデバイスなのか説明する必要があるだろう。これは同社と米Franklinの間で2004年に結ばれた業務提携に基づいて誕生した製品で、セイコーインスツルが企画を、Franklinが設計と開発を担当している(ハードウェアとしてはFranklin製ということになる)。

 ハードウェアとしては480×320ピクセル(最大で19文字×11行の表示が可能)のFSTN液晶のほか、QWERTY配列のキーボードを搭載しており、一見したところPDAのようにも見える。コンテンツとしては広辞苑やジーニアス英和大辞典、漢字源、オックスフォード現代英英辞典、マイペディアなどを搭載しているが、注目すべきは純粋な電子辞書ではなく、電子ブックリーダーに電子辞書機能を追加した製品として意図されてることだ。

photophoto QWERTY配列のキーボード(左)、日本語フォントの見やすさは電子辞書を多く手がけるセイコーインスツルの製品らしい

 「基本は電子ブックリーダーに電子辞書機能をプラスした製品です。リブリエのような純粋な電子ブックリーダーと決定的に異なるのは、英文のリーディングに特化したことと、英語学習者を主なターゲットに据えた点です」(鈴木氏)

 DB-J990はUSB端子を備えており、PCにインストールされたライブラリソフト「Mobipocket Reader for Franklin」が母艦となって、インターネットからダウンロードした電子ブックを転送できる。ソフトには直接、電子ブックのストアへジャンプし、書籍を購入する機能も搭載されており、購入から閲覧、転送までがノンストップで行える。「例えるならば、Mobipocket Reader for FranklinがiTunes、DB-J990がiPodと言う関係ですね」(鈴木氏)

photo 「Mobipocket Reader for Franklin」。PCのHDDに収録されている電子ブックを本棚のようにならべることもできる

 閲覧できる電子ブック形式は「Mobipocket」のみであり、前述のストアでは英語/ドイツ語/フランス語などが主で日本語のコンテンツは販売されていないが、Mobipocket Reader for FranklinはWordやPDF、HTML、テキストなどの各種ファイルをMobipocket形式に変換する機能を持っているほか、RSSで配信されているフィードを取り込み、DB-J990へ転送することもできる。

photo RSSで配信されているWikipedia(Wikipedia Randam Article)

 DB-J990の内蔵メモリには50Mバイトのフリーエリアが確保されており、ここへ電子ブックをはじめとした各種コンテンツを収納できる。この容量には小説なら50、百科事典なら1つ、辞書なら3つ程度のコンテンツが収納できるが、コンテンツは搭載されているSDカードスロットを利用してSDカードに収録しておくこともできる。

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