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LED照明の“買い時”(1/2 ページ)

» 2007年03月12日 21時00分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
photo 東京・有明の国際展示場で開催された「ライティング・フェア2007」

 長寿命で省エネ――電球や蛍光灯に続く“第4の照明”として期待されているのが、LED照明だ。地球温暖化防止の目標値を定めた「京都議定書」では、2012年までに、「高効率照明器具」(LED)の普及により、家庭・業務用途をあわせて約340万トンの温室効果ガス削減を求めている。実際、ここ数年の進歩はめざましく、お洒落なお店や新築マンションにいけば、LEDのダウンライトやスポットライトが普通に使われている状況になった。

 しかし、家電店の店頭を見渡しても、家庭のベース照明(主照明)として利用できそうなLED照明は見あたらない。あるのは、スタンド照明など補助的な製品ばかりだ。その理由を、先週開催された照明器具の専門展示会「ライティング・フェア2007」で探った。

店頭に置いてもらえない理由

 まず訪れたのは、東芝ライテックのブースだ。同社は、昨年6月に家庭用として一般的な電球ソケット用(E26、E17金口)のLEDランプを発表して注目を集めた。しかし、発売後に大手家電量販店を訪れても商品は見あたらず、また店員の認知度も低くて落胆した憶えがある。

photo ボール型からレフ型まで多彩なラインアップを揃えた

 事情を尋ねると、やはり電球形LED照明を扱っているのは、ごくごく限られたショップだけだという。理由は単純で、価格と明るさの不足。価格については製品寿命の長さで説明できる可能性はあるが、白熱電球に換算して10〜20ワット相当(実際の消費電力は2ワット)という明るさでは、ショップ側もスペースを割きにくいようだ。「やはり60ワット程度はほしい、と言われる」(同社)。

 ただし、その横に展示されていたLEDダウンライトの新製品「E-COREシリーズ」は、白熱電球40ワット相当の明るさを実現している。電球形でも同レベルの製品はできそうに思えるが、それも難しいのだろうか。

 「問題は熱。ダウンライトの場合、アルミダイカストの本体で放熱しているようなものだ。しかし、汎用の電球タイプではそれができず、熱が製品寿命を縮めてしまう」(同社)。

photo E-COREシリーズの本体はアルミダイカスト製で、放熱の役割を担う。ただし、熱が出るといっても天井側に特別な配慮は必要ない。一般的な断熱材が3層あっても問題なし

 同社の製品スペックシートを見ると、E-COREシリーズが白熱電球40ワット相当の明るさで約4万時間の製品寿命を謳っているのに対し、電球タイプは10〜20ワット相当で約2万時間。E-COREのLED光源が進化していることを差し引いても、製品寿命が半分になることは、いかに熱の問題が大きいか理解できるだろう。もちろん、どのようなソケットに装着されるかわからない電球タイプでは、スペック上も保守的にならざるをえないという事情もある。

 ちなみに、LED照明における製品寿命とは、多くの白熱球のように“切れる”タイミングではない。経年劣化により、照度が出荷時の70%以下になる時期を表している。実際には、多くの人が気づかずに使い続けるのではないだろうか。

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