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» 2007年04月12日 16時59分 公開

デジモノ家電を読み解くキーワード:MPEG-4(1)――“カフェテリア”方式の動画フォーマット

よく見るけれど、人に説明できるかと言われればちょっと……。この連載ではデジモノ家電を理解する上でキモになる各種のキーワードを解説していく。今回のテーマは、よく耳にするものの正確な説明が難しい「MPEG-4」。

[海上忍,ITmedia]

 普段何気なく利用しているAV家電だが、カタログなどで表記されているキーワードを深く理解すれば、よりその製品の価値を引き出す使い方も可能になる。第1回は携帯機器に多く採用されている動画フォーマット「MPEG-4」について知識を深めよう。

「MPEG-4」はカフェテリア

 MPEG-4という動画フォーマットは広く普及しているが、その規格が定める範囲は広い。国際標準規格のISO 14496を眺めても、動画/静止画の同期などシステム面について定義したISO 14496-1、ビデオコーデックについて定めたISO 14496-2など多数の下位規格が存在し、それぞれ独立して利用されることも多い。

MPEG-4規格を構成するパート 概要
ISO 14496-1 メディア間の統合/同期などシステム関連
ISO 14496-2 ビデオコーデックに関する仕様、ASPの定義
ISO 14496-3 オーディオコーデックに関する仕様、AACの定義
ISO 14496-10 AVC/H.264の定義
ISO 14496-14 MP-4コンテナフォーマットの定義
ISO 14496-17 時間情報付きテキスト(字幕)の定義

 この特徴に着目すると、MPEG-4は学食や社員食堂でおなじみの"カフェテリア"に例えることができる。数あるビデオコーデックの中から1つを主菜に、オーディオコーデックの中から1つを副菜に選び、トレイ的な役割を果たす「コンテナ」に格納して1回ぶんの食事(ムービー)を構成する。必要であれば、字幕のようなデザートを添えることもできる。メニューの豊富さと選択の自由こそが、MPEG-4最大の特徴といえるだろう。

photo このような“カフェテリア”構造がMPEG-4の特徴

 その反面、フォーマットの決め打ちが難しいという短所もある。MPEG-4を再生するときには、ビデオ/オーディオそれぞれに復号化プログラム「コーデック」を使用するため、コーデックの有無により再生できるかが決まる。PCの場合、いわゆるマルチメディアプレイヤーがコーデックを内蔵(またはプラグインとして実装)しているため、問題にならないことも多いが、MPEG-4対応をうたうハードウェアのビデオプレイヤーでは、ソフト「A」で生成したファイルは○だが「B」は×、という事態も発生する。先ほどの比喩で言えば、ナイフとフォーク次第で切れる/切れないことがある、といったところだ。

 身近なところに視点を移そう。たとえば、カラー液晶を搭載したHDDタイプのiPodと、先月発売された新ウォークマン「NW-A800」には、MPEG-4対応のビデオ再生機能が実装されている。携帯端末のカテゴリでいえば、PSPは標準装備、ニンテンドーDSやGAMEBOY ADVANCEも「PLAY-YAN micro」を購入すれば再生可能。多くの携帯電話に採用されている動画フォーマットの3GPP/3GPP2も、MP4ファイルフォーマットをベースとした仕様を持つ。しかし、同じMPEG-4対応プレイヤーといえど、実際にはファイルにより再生できる/できないの問題があることは周知のとおりだ。

 小型端末に内容が偏ってしまったが、次世代DVDと目されるBlu-ray DiscとHD DVDにも、MPEG-4の技術が活用されている。次回からは、小型端末からHD画質の映像機器まで幅広くサポートするMPEG-4というフォーマットについて、ポイントを解説していこう。

執筆者プロフィール:海上 忍(うなかみ しのぶ)

ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。


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