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“多機能”ではなく“高音質”Dockとして使いたいiPod周辺機器――「Xdock」(2/2 ページ)

» 2007年06月01日 13時11分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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 続いて本製品の第2の特徴であり、最大のメリットと呼べるものが、ワイヤレス機能だ。本製品には、2.4GHz帯の無線を利用したWireless Receiverというオプションが用意されており、こちらを活用することでワイヤレスオーディオ伝送システムを構築することができる。

photo iPodにも通ずるクリアブラックのボディを持つXdockとWireless Receiver。ヘアライン仕上げのボリュームは、電源をオンにすると付け根がブルーに輝く。間接照明の室内が似合いそうな、なかなかにシャレた演出
photo Xdockと共通デザインのボディが与えられたWireless Receiver。本体サイズは約10.3(幅)×14.7(奥行き)×4.2(厚さ)センチとXdockに比べて少しコンパクト。こちらにもリモコンが付属、さまざまなiPodの操作がこちらからも行える。ボリュームやミュートはXdockに連動させず独自調整となっている点はとても便利

 しかもその接続に何の設定もいらない簡単さがうれしい。ただお互いの電源をオンにするだけで自動認識してくれるので、気軽に無線機能を楽しむことができる。XdockでミュートをかけてもWireless Receiverではそのまま音楽が再生されたり、Wireless Receiver側からも曲送りや一時停止/再生が行えるなど、別の部屋で使用されることも充分に考慮されているので、使い勝手はなかなか良さそう。なおXdockには4台までのWireless Receiverが接続できるが、その場合は多少の設定が必要となる。

photo Wireless Receiverの接続端子はXdockに比べてシンプル。アナログ音声出力のみで、映像出力は搭載されていないが、RCAとミニジャックのが用意されているのはマル

 さて、実際のサウンドはいかがなものか。その実力を深く知るためにも、今回かなりオーバースペックな機器をあえて使ってみた。

 スピーカーはパイオニアのTAD。近頃コンシュマー向けに復活したTAD-M1ではない、オリジナルで、40センチウーファー(Tl-1601b)とホーンドライバー(TD-4001)の組み合わせた大型の2ウェイシステム。

photo 40センチのウーファーとホーンドライバーをパッシブネットワークでつなぐ大型2ウェイ。大スピーカーならではの大迫力と、ベリリウム振動板ホーンドライバーが生み出す緻密さとが両立する希有なモデルだ。ちなみにその間にあるのはカーオーディオのテストに使うスピーカーボックス

 大口径ウーファーのダイナミックさとベリリウムホーンドライバーの緻密さを併せ持つ、知る人ぞ知る銘機だ。こちらにヤマハのモデル101Mデュアルパワーアンプを組み合わせているが、今回デジタルの音質もチェックするため、デノンのAVアンプ「AVC-A1SR」も用意した。

 そのサウンドは、予想以上にハイレベルなもの。なかでもアナログ接続は、CDと同じとまではいえないものの、その差異はそれほど大きくはない。特にWAV形式で取り込んだ曲などは、本格オーディオシステムでなければ、ほとんどの人がiPodのサウンドとは気が付かないだろう。

 ボリューム機能を持つための弊害か、よく聴けばダイナミックレンジの狭さや解像感など、気になる点はいくつか見受けられるが、それは本格的なホームオーディオ用CDプレーヤーに比べての話。なによりも音楽の臨場感を失わず、その楽しさを余さず伝えてくれる点はうれしい。2万4800円(直販価格)でこのクオリティーは望外のものだろう。

photo

 いっぽうデジタル接続に関しては、音質的にやや疑問が残る。確かにメリハリがつき、音の輪郭がはっきりしていて小音量でもよく聞こえるが、鮮度が大きくあせていて、解像度も粗い。そのために音楽の楽しさが多少薄れてしまっている。Xdock内でAD変換、しかもリニアPCMでなくDTSを採用した点の不利がどうしても音に乗ってきてしまうのだろう。クラシックやジャズはおろか、洋楽ロックでも少々厳しい。Jポップや映画あたりが適正なジャンルといったイメージだ。

 Wireless Receiverの音は、デジタル接続の音からさらにダイナミックさを奪ったような印象。ここまでくると、本格的なオームオーディオとの接続はかなりの無理がある。しかし離れた場所で音楽が再生できるメリットは大きいので、BGMとして利用するシンプルなシステムなどと接続し、うまく活用したいところだ。

 最後にX-Fi CrystalizerとX-Fi CMSS-3Dを試してみた。音のメリハリを強調し聞こえやすくするX-Fi Crystalizerは、環境によっては役立つかもしれない。しかしXdock本来の音が比較的良好なため、それほど活躍の場はなさそうだ。X-Fi CMSS-3Dは、あくまでもオモチャ的な存在。バーチャルサラウンド系は好き嫌いが激しい機能であることからも、利用する人は限られるだろう。個人的には両者とも必要性を感じないが、それはあくまでも好みの範囲内。試しに使って気に入った人は、積極的に活用してほしい。

 本製品は一見したところ単なる高級クレードルのように見えるが、本格オーディオシステムに接続しても遜色のない実力を持つ秀作だ。そのスタイリッシュなデザインとも相まって、所有した喜びは充分に感じさせてくれることだろう。多彩な機能を最大限利用し、たとえばパソコンのある部屋で本格的に音楽を楽しみつつ、リビングやダイニングなどでBMGとして活用するなど、おおいにiPodの音楽を楽しんでほしい。

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