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主要メーカー総チェック、大画面テレビの選び方麻倉怜士のデジタル閻魔帳(3/5 ページ)

» 2007年06月06日 07時00分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

――液晶テレビの金額世界シェアで1位になるなど「BRAVIA」が好調なソニーはいかがでしょう。

photo “BRAVIA”「KDL-52X2550」

麻倉氏: 液晶BRAVIAのハイエンド「KDL-52X2550」の画質からは、良好な印象を受けました。液晶としての限界を超えるまでには至っていませんが、繊細な表現が上手になり、輪郭などを細やかに映し出しながらも、コントラストで見せるという力強さも同時に感じさせます。精細感、先鋭感、階調感といった要素がすべて一皮むけた印象です(関連記事)

 ソニーに言わせると絵作りは変わっていないといいますが、シリーズの立ち上げから時間が経過したこともあり作り込みが進み、製品としての安定性も向上したのでしょう。最新モデル「Jシリーズ」の上位モデルには120Hz駆動の「モーションフロー」を盛り込んだほか、ネットワーク機能も搭載しましたが、「液晶テレビ」としてのクオリティはXシリーズの方が上回っていますね。

 ただ、秋には120Hz駆動モデルのラインアップが拡張されるはずなので、いま現行のXシリーズを購入するかは判断が難しいですね。店頭などで動きの速い場面を実際に見た上で考えた方がいいでしょう。120Hz駆動は確かに注目すべきポイントではありますが、選択する上での絶対条件ではありません。あれば良いものではありますが、現時点では、圧倒的重要視するべきファクターではありません。

――次はiVDR搭載などで独自路線をアピールする「Wooo」の日立製作所ですね。日立といえばプラズマという印象が強いのですが。

麻倉氏: そうですね。確かに日立製作所は基本的にはプラズマメーカーですが、37V型までを液晶、それ以上のサイズをプラズマという戦略をとっているために、徐々に製品ラインアップにおける液晶の比率が上がってきています(関連記事)

photo “Wooo”「L37-XR01」

 新製品である37V型「L37-XR01」のスペックはかなり高く、いわゆる「液晶の問題点」に明確な回答を提示する製品のひとつです。液晶テレビとしてはスッキリとした見やすさを持っており、これといった欠点がありません。

 技術的にかなり高度なレベルにあるのですが、それだけに、絵の感動力という部分では物足りなさを感じるのも事実です。プラズマとの差別化を意図しているのかも知れませんが、プラズマ=感動、液晶=情報のようなニュアンスも受けます。「日立の液晶」という絵作りが感じられないのは残念です。

――液晶メーカーのトリを飾るのはいち早く120Hz駆動(倍速)モデルを投入するなど、高い技術力を持つ日本ビクターです。

photo “EXE”「LT-47LH805」

麻倉氏: 最新型の「LT-47LH805」は非常に素晴らしいデキです。日本ビクターは昔から絵作り一本勝負という雰囲気のあるメーカーで、手に入る部材をフルに活用しながら絵を作っています。液晶的な解像感を保ちながらも、人肌のぬくもりや暖かさを表現するその絵はワンアンドオンリーと言えます。液晶テレビを作る以上、液晶というクセのある表示デバイスを各社は使いこなさなくてはならないのですが、「絵作りの技術」に関しては突出したメーカーですね(関連記事)

 技術面に目をやっても、120Hz駆動をいち早く製品化するなど見るべき部分がありますが、“ワクワク感”や“感動”とったエモーショナルな部分を優先しますね。スペックだけではなく、「こう見えてほしい」という作り手の考えが盛り込まれた製品を作り出すメーカーです。いい意味での主観性、オーディオ的な感情すら感じさせる、個性のある絵を映し出すメーカーと言えるでしょう。

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