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旅行に最適な超望遠/動画コンパクト――キヤノン「Powershot TX1」レビュー(3/5 ページ)

» 2007年06月08日 13時01分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

16:9モードでハイビジョン動画も撮影可能

 自分撮りもできる回転式ディスプレイは、ボディサイズを小さく押さえたこともあって1.8インチと今となってはかなり小さめのサイズ。液晶ディスプレイの裏側にステレオマイクを内蔵している。

 操作系は背面に集中しており、すべて右手親指で操作する。

MENUキーを押すとメニューが表示される。顔優先AFも用意されている
FUNCメニュー。ここで基本設定を行う

 一番上にDISP.とMENUボタンが並び、その下に中央がFUNC/SETボタンになった十字スティック。その下にズームレバーがある。

 そしてさらにその下に動画用のボタンという構成だ。

 FUNCボタンを押すと表示されるFUNCメニューも他モデルと同等だが、ひとつだけ独自の項目がある。

 それがアスペクト比だ。

アスペクト比の項目が追加されたのがTX1の特徴だ。これで静止画も動画も同時に16:9になる

 4:3と16:9を選べるのである。4:3を選ぶと、静止画も動画も4:3(静止画は3072×2304、動画は最高でVGA)、16:9を選ぶと静止画も動画も16:9(静止画は3072×1728、動画は1280×720のいわゆる720p)になる。

 ハイビジョン動画を撮影するため16:9モードにすると、静止画も16:9にトリミングされてしまうので注意したい。

撮影時の画面。このようにグリッド表示が可能。16:9時は上下がトリミングされる

 ハイビジョンサイズのワイド動画はTX1のウリのひとつだが、映像の圧縮形式はMotionJPEG、音声は非圧縮のステレオ音声(44.1kHz)なので、クオリティは非常に高いが、その分ファイルサイズが非常に大きくなる。圧縮率が低い構図だと2秒ちょっとで10Mバイトを越え、VGAサイズに比べると倍以上になる。短時間でいいからハイクオリティなムービーを欲しいというときに使うべきだろう。

底面にはバッテリーとコネクタが。コネクタは左からUSB、コンポーネント端子(D端子用)、AV端子となる

 なお、底面には通常のAV出力に追加して、HDTV用のコンポーネント端子(日本だとD端子に変換できる)が用意されている。本体をそのままD端子のついたテレビに接続して鑑賞できる。

メディアはSDメモリーカード。液晶モニターを開かないと開閉ができない

旅行に最適な動画も録れる超小型望遠デジカメ

 ボディのデザインによって握り方に制限があってややとっつきづらい面もあるが、慣れれば非常に楽しいTX1。バッテリーが小さい(小型のIXYシリーズと同じもの)ため、CIPA規格で約160枚と持ちはよくないが、コンパクトデジカメサイズで390ミリ相当までの望遠を楽しめるのはすごい。

 縦位置で撮りづらいとか動画用シャッターを押しづらいとか液晶ディスプレイの開閉が電源と連動しない(せめてXactiと同様に、開閉がスタンバイと連動するくらいはしてほしかった)など文句をいいつつも、気軽に持ち歩ける望遠系デジカメとしては非常に優れている。

 何しろ今までの望遠デジカメはでかかったからね。これならたいていのコンパクトデジカメ用ケースに入るはず。特に小さくて高倍率なので荷物を増やしたくない旅行によい。

 画質もボディ・レンズサイズを考えれば十分。キヤノンらしい安定感とこってりした色の派手さが楽しい。

 形状から「動画用」と思われがちだが、静止画・動画と用途を決めず、もっと気楽に使いたい望遠デジカメである。

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