失われた音を取り戻そう。それがマクセル「Vraison」(ヴレソン)

音楽をMP3に圧縮しパソコンで楽しむスタイルはもはや珍しくないが、その圧縮された音が十分な音質かは別の問題だ。“圧縮によって失われた音を取り戻す”デバイスであるマクセルの 「Vraison」(ヴレソン)を、本誌でもおなじみの小寺信良氏が語る。

» 2007年06月18日 00時00分 公開
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Photo 小寺信良氏 

 ライブラリ管理、ポータブルデバイスへの書き出し、プレイリストによる長時間再生といった利便性から、PCに音楽を取り込んで聴いている人は相当な数にのぼる。過去の調査では、利用数においてミニコンポを抜いたというデータも出てきている。すでに音楽CDをアルバムごとに1枚ずつ入れ替えるという手間は、現代の生活とは合わなくなっているのかもしれない。

 しかしPCで聴く音楽は、音質的に満足できるものだろうか。PC内部では、いろいろなノイズが飛び交っている。当然これらがオーディオのラインに混入してくる。そしてそれよりも根本的な問題として、圧縮された音源で十分か、という問題が残る。

 圧縮によって失われた音は、もはや戻ってこないのだろうか。この命題に取り組んだのが、マクセルの 「Vraison」(ヴレソン)である。

Photo オーバーヘッドタイプ「HP-U48.OH-BK」

Vraisonの誕生

 Vraisonは、マクセルが高音質・高機能音響機器製品として展開するブランドだ。その第1弾として発売されたのが、PCのソフトウェアによって音質補正を行なう高音質化ヘッドホンである。ラインアップはハイエンドの「HP-U48」シリーズと、スタンダードの「HP-U24」シリーズの2タイプ。それぞれにオーバーヘッド型とインサイドイヤー型がある。

Photo ブランドビジネス事業部 落合 誠氏

 マクセルはご存じのように、メディアメーカーである。それがなぜ、ヘッドホンなのだろうか。ブランドビジネス事業部エンジニアの落合 誠氏は、開発経緯をこう語る。

 「わたしたちはこれまで、テープから光メディアに至るまで、記録という分野でハイクオリティを目指してきました。そしてこれからは、音にこだわりのあるメーカーとして、「音の入り口から出口まで」に取り組む――つまりは、記録したものを読み出し、再生することへ着手する時が来たのだと感じたのです。ただ、私たちも再生機器には新規参入ですから、まずは音楽に一番近いところで、ヘッドホンから製品開発をスタートしました。」

 Vraisonシステムヘッドホンの仕組みをざっと紹介しておこう。製品としてはヘッドホン/イヤフォン、USBオーディオデバイス、そしてオーディオを高品位にプロセッシングするソフトウェアの3つから構成されている。

Photo PC上で再生した音をソフトウェアで補正、USB経由で出力する

 このソフトウェアはサウンドドライバという形でシステムに常駐する。PC上の音楽プレーヤー、例えばiTunesなどで音楽を再生すると、そのオーディオ出力を捕まえて、独自のオーディオプロセッシングを行なう。そしてこの結果がUSBオーディオデバイスに送られ、そこでD/A変換されてヘッドホンを鳴らす、というわけである。

 このUSBオーディオデバイスにはラインアウトも用意されているので、AVアンプなどに接続すれば、システムオーディオのスピーカーからVraisonによって高められたサウンドで、音楽や映画、DVDを楽しめる。普段はヘッドフォンで、ゆったりと楽しみたいときにはスピーカーでという使い分けができるのもうれしいところだ(ラインアウトが用意されるのは上位モデルのみ)。

 PCのプロセッサパワーを利用するからこそ、Super Audio CDに匹敵する高音質化を成し遂げながらも、低価格に抑えることができたのだという。

Vraisonを支える3つのコアテクノロジー

 Vraisonのベースとなる高音質化技術は、「Bit-Revolution Technology」と呼ばれている。その中核を成すのは、3つのテクノロジーだ。

Photo カットされた高音域を再構築する

 まず1つ目の「Interpolation」(高域補間)は、デジタルフォーマットの都合でカットされた高音域を補間し、失われた信号を再構築する技術だ。一般的にMP3では16kHz、音楽CDでは22kHz以上の音はカットされているので、その失われた部分を補完する。カットされる音は人間の耳には聞こえない帯域ではあるが、近年ではこうした高周波の有無で、音の表現力が違うことがわかってきた。この理由はまだハッキリしていないが、その効果はVraisonが証明してくれる。

 2つ目は「Smoothing」(スムージング)だ。アナログの音声をデジタル化する際、その波形は縦横のマス目に対しての近似値を取ることになる。このマス目が細かければ細かいほど、元の波形と同じ形になるわけである。この横方向の細かさがサンプリングレートであり、縦方向の細かさがビット数となる。これら縦横のマス目を独自アルゴリズムで細かくし、オリジナルの波形を復元するのが、Smoothingだ。圧縮音源のデジタル歪みを極限まで軽減するだけでなく、音楽CDのデータであっても、さらになめらかな波形に補正できる。

 3つ目の「Equalize」(聴覚感度補正)は、ユーザーの聴覚を測定し、それに合わせて適切な補正カーブを作成する機能だ。従来、イコライジングと言えば、自分の好みの音を作るといった用途で使われていた。その前提は「すべての人には同じ音が聞こえている」という前提に立つものである。

Photo (左)スムージングでオリジナルの波形を再現(右)測定した結果に基づき、イコライジングカーブで適正な周波数特性に補正

 しかし実際には、人間の聴覚は年齢と共に高域の特性が落ちていき、生活環境によっては、年齢とは関係なく落ちていく場合もある。これら一人ひとりの聞こえ方に合わせて、感度を補正するのである。また、製品に付属するヘッドホン/イヤフォンにマッチした補正データも含まれている。誰にでも同じ音を聞かせるためにはどうしたらいいかを突き詰めたヘッドホンシステムは、これまで存在しなかった。

「音楽再誕」――嫌みのない、ナチュラルな補間効果

Photo ハイエンドのインナータイプ「HP-U48.IE-SL」

 すでに店頭に並んでいるVraisonのヘッドホンシステムだが、もっとも売れているのはハイエンドモデルのオーバーヘッドタイプ「HP-U48.OH-BK」だという。だが落合氏が「実はインサイドイヤーも結構いい音なので、ぜひ聴いてみてください」という。そんなわけで、今回はハイエンドのインサイドイヤータイプ、「HP-U48.IE-SL」をテストしてみた。

 ソフトウェアの画面左上、「Bit-Revolution」のチェックを付けると、InterpolationとSmoothingの機能がONになる。これだけでもサウンド全体の明瞭感がアップする、劇的な効果だ。高音域の立ち上がりが良くなるのはもちろんだが、通常なら一緒に増してしまうヒスノイズはまったくと言っていいほど感じられない。これは、いわゆるイコライザのようなものでは絶対にできなかった処理だ。

 音源によって効果に差があるが、もっとも効果が高いのはアコースティックな音源であろう。ボーカル、ブラス、シンバルなどはその象徴的なソースだが、これらの音抜けとキレが大きく改善される。音楽再生というよりも、「音楽再誕」というイメージだ。最初はあまりのギャップに高域がキツいと感じるかもしれないが、しばらく聴いていると心地よく、これが当たり前の状態になっていく。

 「ユーザー適応」は、事前に聴覚感度測定を行なうことで、ユーザー独自のプロファイルが作成される。これもきちんと行なっておくと、Bit-Revolutionによって復元された高域特性のカーブが、ユーザーに最適化される。

Photo ソフトウェアで機能を選択。USBコントローラでもモード切替が可能

 Bit-Revolutionの威力を体感するにはこれだけで十分だが、好みの音質に調整したいという場合は、イコライジングの「音感EQ」が便利だ。縦軸のHEAVY-LIGHT、横軸のSHARP-SOFTのエリアでマウスを動かすだけで、イメージどおりの音質に設定できる。どの周波数の音を上げ下げしてどう変わるといった、これまでの方法論とはまったく異なるイコライジングが可能だ。

 また「HP-U48」シリーズのUSBコントローラには、ライン出力もある。AVアンプなどのライン入力と接続すれば、本製品でクオリティを高めた音をリビングや自室のオーディオセットで楽しむこともできるのだ。普段はヘッドフォンで、ある時はスピーカーでと使い分けができるのはありがたい。

ハイエンドのオーディオ体験を手軽なシステムで

 実は今、大手量販店のオーディオ売り場がスゴいことになっている。これまでは壁にちょろっと吊るしてあったヘッドホン、イヤフォン群が、巨大フロアの一角を占拠する勢いで売り場を広げているのだ。これはもちろん、製品が充実しているだけではなく、それだけ多くのユーザーが、いい音を求めて来ているということなのである。

 ただヘッドホン単体はどんなに高級でも、音源にない音を聞かせてくれるわけではない。しかしVraisonのBit-Revolutionでは、本来はあったはずの音をプロセッシングによって作り出してくれる。逆に言えば、ヘッドホンの本当の能力を引き出すには、このテクノロジーは必要ということなのである。

 もっとリーズナブル楽しみたいという向きには、スタンダードタイプの「HP-U24」シリーズもいい。ビット数こそ16bitにとどまるが、音楽CDの約2倍となる48kHzサンプリングの音が楽しめる。さらに今回は、待望のMac OS用ソフトウェアも登場する。製品パッケージには同梱されないが、6月中にもVraisonのサポートページからダウンロードが可能になる予定だ。

 一度Vraisonを使ってしまうと、これ以外のヘッドホンで音楽を聴くとすげええつまんねえええぇと感じてしまう。ハイビジョンテレビを見てしまうと、いまさらスタンダードテレビには戻れないように、一度「上」を知ってしまうと、これまでの「普通」には戻れなくなってしまうのだ。

 誰でも簡単にオーディオのグレードアップができてしまうVraisonシリーズ、音楽に込められた本当の音を聞いてみたい人に、ぜひ使ってみて欲しい。

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提供:日立マクセル株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年7月17日