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約2万カットの人生を持ち歩く――「Cyber-shot DSC-G1」の開発者に聞く永山昌克インタビュー連載(2/3 ページ)

» 2007年06月25日 09時00分 公開
[永山昌克,ITmedia]

――2Gバイトの内蔵メモリや3.5型の液晶モニターの狙いは?

合田氏: 今までのコンテンツ、つまりこれまでに撮り溜めて、パソコンのHDDなどに眠っている写真をどうにかして持ち歩いて欲しい、撮った写真をもっと楽しんで欲しいという願いを込めています。また、たくさんの枚数を手軽に撮影できるデジタルの場合、枚数が増えれば増えるほど逆に不便に感じる面もあるでしょう。そこでDSC-G1では、大量の写真を素早く検索し、管理できる機能を盛り込んでいます。加えて、圧倒的な大画面で写真を美しく表示できることにもこだわっています。

photo 「たくさんの写真をどうやってうまく扱うか、どうやって検索するか、撮った後にどんな楽しみ方をするか、といったことに力を注ぎ開発しました」(合田氏)

――写真の鑑賞は、プリントアウトやパソコン表示など様々な楽しみ方がありますが、液晶上だけ見て完結する使い方が増えているのでしょうか?

合田氏: 調査的に見ると、もともとはプリントアウトのニーズが大きかったですが、今では圧倒的にパソコンの画面で見て楽しむ人が多いといえます。またコンパクトデジカメの液晶は、1.8型や2型の時代ではそこで見るだけでは不十分でしたが、今では2.5型が主流となり、カメラ上で見て楽しむ使い方も確実に増えています。

 DSC-G1のコンセプトの機軸は「写真を持ち歩く」ことです。持ち歩くからには、写真をきれいに表示することが当然必要になります。圧倒的に美しく表示できるよう、従来の「クリアフォト液晶プラス」の約4倍の解像度を持つ、3.5型約92.1万ピクセルの「エクストラファイン液晶」を新開発しました。

――撮影データに忠実に液晶表示しているのですか?

判治氏: 写真がくっきり見えるように、従来の製品とは微妙に異なる、多少の色づけを行って表示しています。ただビューワとしての機能だけでなく、画像を確認するための役割りがもちろんありますので、例えばテレビのダイナミック表示モードのような極端な味付けではありません。カメラ上でも見ても、パソコン上で見ても両者の色の差に違和感を覚えない程度の補正に抑えています。

パソコンと連携して写真を管理・検索する

――内蔵メモリを2Gバイトにした理由は? もっと大容量でもいいと思いますが。

合田氏: みなさんがどれくらいの写真をためているかを見極めるのは難しいですが、2万枚でほぼカバーできるという判断です。2Gバイトなら、VGAサイズで約2万枚を保存できます。もちろん4Gバイトや8Gバイトを搭載すれば、コストがさらに高くなりプライスに反映してしまいます。コストとプライスのバランスで決めました。

――DSC-G1をパソコンに接続し、ほかのカメラで撮った写真も含めて、パソコンのHDD内の画像をカメラの内蔵メモリに転送できることが大きな特徴ですね。付属ソフトを使って、画像を自動的にVGAにリサイズして転送できるのも便利です。ただし、例えばデジタル一眼レフ機で撮ったコンパクトフラッシュ内の画像をダイレクトにDSC-G1に転送できるようにするなど、入力の間口をもっと広げる検討はなかったのでしょうか?

判治氏: そういうニーズは当初から把握し、一眼レフ機αのチームと話をする中で、ほかのカメラの画像を、このDSC-G1の大画面の表示させる検討もありました。ただ、あまり広げすぎるとカメラではなく、完全なビューワになってしまいます。やろうとすれば、CFスロットやUSBのホスト機能を付けることは可能です。例えば、簡単なカメラ機能だけが付いた、多機能なフォトビューワという商品もありかもしれません。しかし、このDSC-G1はついては、カメラ売り場で売られるカメラであり、新しいCyber-shotを作るという大前提があります。

 むしろパソコンと接続するからこそ可能な、様々な管理や検索の機能を重視しています。内蔵メモリには最大2万枚の写真を保存できますが、2万枚から見たい写真を見つけるのはたいへんな手間がかかります。その手間を軽減し、所望の写真に素早くアクセスできる検索機能です。画像のアルバム管理、撮影日やタイトルによる分類、顔や色による絞り込み検索、類似画像検索、ラベルの設定などができます。

photo 「私自身のDSC-G1には、古い写真を含めすでに7000枚以上の写真が入っています。自分の人生の一部を持ち歩く感覚ですね」(判治氏)

合田氏: 撮ったら撮りっぱなしではなく、カメラが自動的にアルバムごとに写真を整理してくれます。単なる日付ごとの整理ではありません。例えば2泊3日の旅行に出掛けたとすれば、その2泊3日分の写真がひとつのイベントのまとまりとなり、パソコンを通してイベント名の入力ができます。撮影して、カメラをクレードルにセットし、パソコンに連携させることで、必要な写真はカメラに書き戻す。そんなひとつの流れを作ることで、簡単なボタン操作だけで、写真を縦横無尽に楽しむことができます。

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