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手ブレに強くゴミの心配もない“全部入り”――オリンパス「E-510」レビュー(1/4 ページ)

» 2007年06月29日 15時52分 公開
[永山昌克,ITmedia]

顕微鏡の技術を応用した強力な防振機構

 オリンパスとしては初めて、手ブレ補正機構に対応したデジタル一眼が「E-510」だ。補正の方式は、キヤノンやニコン、パナソニックなどが採用するレンズシフト式ではなく、ソニーやペンタックスと同じく撮像素子シフト式を採用。装着する全レンズでブレ補正が機能する。

photo オリンパス「E-510」。6月29日発売。今回の試用と作例はベータ機による

 ブレを打ち消す方向に撮像素子を瞬間的に移動させる基本原理は、これまでの他社製品と同じである。ただし他社技術の流用ではなく、オリンパスが独自に開発したものだ。特徴は、撮像素子ユニットを移動させる駆動源に、超音波モーター(SWD)を使っていること。

 通常はユニットが画面中心に位置し、強い摩擦力で保持されている。この状態では電源の消費はない。シャッターボタンを全押しした瞬間に、ブレ量に応じた超音波振動が加わり、瞬間的にユニットが移動する。

 同社の説明によると、E-510が採用するフォーサーズシステムは、手ブレ補正を搭載する上で有利なシステムとのこと。同じ画角で比べた場合に、他社で一般的なAPS-Cサイズのデジタル一眼レフ機よりもレンズの焦点距離が短いため、ぶれ量=角度における撮像素子の移動量が小さくて済むからだ。小さい分、より微妙な制御が必要になるが、同社が顕微鏡のステージ制御に培った技術を応用し、高速で精密な補正を実現できたのだという。

 E-510のカタログなどでうたっている補正効果は「最大4EV」。筆者の試用では、28ミリ相当の焦点距離でシャッター速度1/4秒を使っても大半のカットはぶれなかった。200ミリ相当の焦点距離では、1/20秒をぶらさずに撮れた。しっかりとカメラを支えて慎重にシャッターを押せば、それよりさらに遅い速度でもぶらさずに撮れる。3段分の効果は確実にあり、条件によっては公称値の4段分も可能だろう。

 補正の作動中にはジーという小さな音がするが、作動するのはシャッターボタンを押し切った露光中のわずかな瞬間なので、作動音が気になることはない。また、カメラの電源をオフにする際には、手ブレ補正機構の初期化が行われ、ぶるぶると音が鳴り振動が手に伝わる。

photophoto ボディ背面のISボタンを押し、通常の手ブレ補正が働く「I.S.1」と、縦方向のみの補正が働く、流し撮り用の「I.S.2」を選択できる(左)、レンズシフト式の手ブレ補正とは異なり、撮像素子シフト式の手ブレ補正の場合、光学ファインダーの表示は補正されない。ただしE-510では、ライブビュー表示中にISボタンを押している間は、液晶上で補正の効果を数秒間確認できる。確認中は画面左下のISの文字が緑色になる(右)

ホールド性に優れた小型軽量ボディ

 E-510の製品としての位置付けは、2005年秋発売のエントリー機「E-500」の後継モデルで、今年4月に発売した「E-410」(レビュー)の上位機となる。世界最小最軽量のE-410に比べると、ボディのサイズや重量は一回り大きくて重いが、それでもデジタル一眼レフ機としては小型軽量の部類だ。E-410とは異なり、グリップ部が大きく膨らんでいるので、ホールド性は上回る。

 上部の電源スイッチを回すと、撮像素子のゴミを超音波振動で振るい落とすダストリダクションシステムが瞬間的に作動し、約1.5秒で撮影スタンバイとなる。撮影モードは、フルオート/プログラムAE/絞り優先AE/シャッター優先AE/マニュアル/シーンモードなど11モードをダイヤル操作で選択でき、シーンモードではさらに18モードをメニュー画面から選べる。

 絞りやシャッター速度の調整、およびプログラムシフトの操作は、グリップ部のコントロールダイヤルで行い、マニュアル露出モード時の絞り選択は露出補正ボタンを押しながらダイヤルを回して行う。こうした基本操作はE-410と同じだ。

 操作面でのE-410との違いは、背面の十字ボタンにホワイトバランス、AF方式、ISO感度、測光方式の4機能が割り当てられていること。また、いくつかの機能から好きな機能を割り当て可能なFnボタンや、AFフレームの切り替え用のボタンも装備する。

photo レンズキットに付属の標準ズーム「ED14-42mm F3.5-5.6」を装着
photophoto 液晶には各種の撮影情報が表示され、ボタン+ダイヤル操作でそれぞれの値を切り替えられる(左)、レンズマウントはフォーサーズマウント。魚眼や超広角、超望遠ズームなど30本以上の交換レンズを使用できる(右)
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