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オリンパスEシリーズで撮る旅と家族――写真家 大野葉子写真家インタビュー(1/2 ページ)

» 2007年07月19日 08時56分 公開
[永山昌克,ITmedia]

 大野葉子さんは、中国やイエメン、ミャンマー、イタリア、アメリカなど世界各国を訪れ、現地の人々のスナップやポートレートを撮り続けている写真家だ。現在は子育て中のため海外取材は控えているが、先日行われた「E-410による女性写真家展」では、一番身近な自分自身の家族を被写体に選んだ。母親の目でとらえた娘と夫の写真。そんな新しいテーマに挑む大野さんに、独自の撮影術とE-410の使用感を聞いてみた。

photo 写真家 大野葉子さん

現地の人の笑顔を引き出すコツ

――大野さんは、これまでに中国のトン族やイエメンの人々を撮った作品を雑誌や個展で発表されています(作品は大野さんのホームページに掲載中)。海外で写真を撮ることが多いのですか?

大野さん: 国内外を問わず、建築や舞台、取材撮影など商業的な写真を撮る仕事をしていますが、それと平行して海外の各地で作品としての写真を撮っています。例えば中国やイエメンの場合は、建築関係の知人に同行して記録写真を撮る目的がありましたが、朝夕などの合間に時間を作り、自分の好きな作品写真も撮りました。テーマとしては、風景だけを撮るのではなく、風景の中にいる人物や、人物の生活や空気感を感じるような写真を好んでいます。

――今までの作品では、現地の人たちの笑顔が印象的です。海外でスナップを撮る際は、話しかけて撮っているのですか?

photo 「E-410による女性写真家展」で展示した作品1

大野さん: たとえ言葉がまったく通じない場所でも、身振り手ぶりを交えて、できるだけコミュニケーションを取るようにしています。撮りたい意思をゼスチャーで伝えると、それなりに伝わることが多いですね。通りすがりに笑顔を向けると、笑顔を返してくれることもあります。そんな時は、さりげなく近づいてカメラを向ければ自然な雰囲気で撮らせてもらうことができます。

――人を撮ることに怖さは感じませんか?

大野さん: 例えばイスラム圏では、女性にカメラを向けることが基本的にタブーとされていたり、コワモテの人が多かったりするなど、国や場所によっては危険や恐怖心を感じることはあります。光を浴びた横顔がとても素敵で、どうしても撮りたかったとき、状況的に声を掛けるのに躊躇したこともありますが、思い切って近寄ってみると、日本人の旅行者を珍しく感じたのか、意外とやさしく接してくれたりすることもありました。もちろん、あまりにも雰囲気が悪いときは無理に突っ込まないようにしますが、みんなが雑談している時などは、さりげなく話しかけ、少しでも興味を示してくれたら、こっちもプッシュしたりします。

――カラー以外にモノクロの作品も多く撮られていますね。カラーとモノクロの使い分けは?

大野さん: デジタルの場合は、後処理で簡単にカラーからモノクロに変換できますが、基本的には撮る段階でカラーにするかモノクロにするかを決めています。その土地の雰囲気によって、どちらが合うかを感覚的に感じます。例えば中国では、この時はフィルムカメラを使いましたが、空気の濁った感じがモノクロのトーンに適していると思い、カラー用のカメラはほとんど使いませんでした。また逆に、カラーのポジフィルムだけで撮ることもあまります。

 私の場合、自分自身の目がモノクロモードになっているときは、光の当たり方や被写体のシルエットなど「トーン」を探して撮り、カラーモードのときは「色」を探して撮るスタイルになります。

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