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操れ!露出! 目指せ光のマジシャン脱フルオートの道 第4回(1/2 ページ)

» 2007年07月25日 17時22分 公開
[小山安博,ITmedia]

 前回前々回と絞りとシャッタースピードについて解説した。シャッタースピードは被写体の動きを表現し、絞りはボケを調節できると書いたが、シャッタースピードと絞りの基本的な機能として「光をコントロールする」というのもある。

 この光をコントロールするという点が、写真表現の面白さであり、難しさでもある。この光のコントロールを「露出」といい、この露出を変更することを「露出補正」という。今回はこの露出補正についてお話ししたい。

カメラ任せの露出と露出補正

 露出補正とは、写真で表現する光の量を調節することだ。これまでにもシャッタースピードを速くするとカメラに取り込める光の量が少なくなり、絞りを開けると光の量が多くなる、ということを説明してきたが、このシャッタースピードと絞りを組み合わせることで、光の量を適切に調節するのが「露出」だ。

 現在販売されているデジカメであれば、内蔵する光の量を計測する露出計による自動露出(AE=Auto Exposure)機能が搭載されているので、カメラ自体が適切な露出(標準露出)を判別してくれる。それに従うのが最も一般的なやり方だ。

photo 撮影時の液晶画面に表示されている露出(カメラはキヤノン「PowerShotG7」)

 モードダイヤルでオートモードやP(プログラムオート)モードに設定すると、露出はカメラが自動的に設定してくれる。デジカメの画面上では縦棒が伸びるようバーで表示され、−2〜+2までといったような露出の範囲が示される。AEでは「0」の位置になるようにシャッタースピードと絞りを自動制御される。

 絞りとシャッタースピードの関係は、水道とバケツで表現されることが多い。バケツに水が一杯になるのを適正露出だと仮定する。絞りは水道の蛇口の開き具合、シャッタースピードは水がたまる時間となり、バケツの大きさが同じなら、蛇口を開いて水が出る量を多くすれば(絞りを開けば)バケツは速く一杯になる(シャッタースピードが速い)。逆に蛇口を絞って水の出る量を少なくすれば、水がたまる時間は長くなる、というわけだ。

 ちょっと専門用語を使った話をすると、絞りとシャッタースピードの増減を「段」と呼び、絞りF2.0から1段絞るとF2.8に、F5.6から1段絞るとF8.0になる。シャッタースピードの場合、1/30秒から1段上げると1/60秒、1/250秒から1段下げると1/125秒になる。

 シャッタースピードが1/60秒、絞りがF2.8で適正露出の場合、シャッタースピードを1/30秒にするだけでは明るすぎ、絞りをF4.0にするだけでは暗すぎる。シャッタースピードを1/30秒にするならば、絞りをF4.0にしないと適正露出にならない、というわけだ。

 オートモードやプログラムモードの場合、このシャッタースピードと絞りの値をカメラのAEが自動調整し、露出が最適になるように設定してくれる。

 多くの撮影シーンでは、カメラの露出計で計測してAEが設定した標準露出がおよそ適切な露出(適正露出)になる。ところが、適正露出にならない場合もある。写真が明るすぎると「露出オーバー」、暗すぎると「露出アンダー」となり、失敗写真に多く見られるので、画面で見て明るすぎる(暗すぎる)と感じたらそれを調節する必要がある。

 こうした作業を「露出補正」という。露出をプラス側に補正すれば画面が明るく、マイナス側に補正すれば画面が暗くなるので、標準露出だとちょっと暗いなと思ったときはプラス補正、明るいと感じたらマイナス補正すればいい。

 ほとんどのデジカメには、AEに加えて露出補正機能が搭載されており、これを覚えることで失敗写真は減り、さらに写真表現の幅が広がることになる。

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