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» 2007年08月13日 10時39分 UPDATE

大人の夏休みに:「生録」も楽しめるポータブルレコーダー選び (1/2)

ポータブルレコーダーといえばビジネス向けの質実剛健な製品を連想してしまうが、CD以上の高音質録音が行える機種が増え、「録音」を楽しめるようになってきた。ある年代には懐かしい、そうでない人には新鮮な「生録」の楽しさを味わおう。

[野村ケンジ,ITmedia]
photo 「デンスケ」を彷彿とさせるソニーのポータブルレコーダー「PCM-D1」。一見するとプロ向け製品のように見えるが、一般ユーザーが「録音を楽しむ」ツールとしても十分に活用できる

 カセットテープからMD、そしてHDDやフラッシュメモリと、メディアの移り変わりとともに、確実な進化を遂げてきたポータブルプレーヤー。その資産をいかし、同様の進化を続けてきたものがある。それが今回取り上げる、ポータブルレコーダーだ。

 同じような歩みを薦めてきたポータブルプレーヤーとポータブルレコーダーだが、実のところ、一部は非常に似通ったハードウェア構成を持ちながらもその思想は大きく異なっている。プレーヤーがコンパクトなサイズを最優先してシンプルな形やデザインを追い求めてきたのに対し、レコーダーはポータブルさを確保しつつもいかに良質な録音ができるかを最優先に考え、より機能的なスタイルを与えられてきた。このためレコーダーは、プレーヤーに対していつの時代も「大きくて不格好」というイメージがあり、録+再という一挙両得の魅力を持っていても、カセットやMDの時代には、その外見だけで購入を躊躇する人が多かったのも事実だ。

 しかし、ポータブル機器がHDDやシリコンメディアを使う段階になってからは、そういった印象はずいぶんと払拭されつつある。それはiPodなどのポータブルプレーヤーが、録音機能を持つようになってきたからだ。これらは別売のボイスレコーダーユニットをつなぐだけで簡単に録音ができるため、スタイル的なスマートさは失わず、しかも「おまけ機能」でありながら十分なクオリティも持つ。「録音機能は欲しいけどほとんど再生にしか使わないからサイズやデザイン的妥協はちょっと」と思っていた人にとっては、かなり高かった敷居がいきなり引き下げられたようなものだ。

 さらなる追い風もポータブルレコーダーには吹いている。ポータブルプレーヤーの再生クオリティは、メディアやフォーマットは変われど44.1kHz/16bitというCD規格からほぼ進歩していないが、ポータブルレコーダーは既にCDをしのぐ高音質録音(96kHz/24bitなど)を実現しているのだ。10年前までは、プロ用の録音機器でも少数派だったハイクオリティ録音が、いまや手のひらサイズの機材で実現できるのだ。ポータブルレコーダーは、まさに旬を迎えているといっていいだろう。

 そんな恵まれた時代だからこそ、目的にあったベストなポータブルレコーダーを選ぶ選択基準を紹介しよう。ちなみに今回は、取り上げる機器が録音機能を持つポータブルプレーヤーであっても、あくまで録音機能のみに注目して話を進める。

まずは用途をハッキリさせる

 さて、まずいちばんに考えるべきは「何に使うか」だ。一般的にポータブルレコーダーは、以下の3つの目的で用いられることが多いようだ。

・1 会話を録音する

・2 音楽を録音する

・3 自然の音や列車の走行音などを録音する

 1はインタビューや会議など、仕事で使うケースが大半だろう。語学などの授業をあとで確認できるよう、録音するという人も少なくない。こういった「会話を録音する」場合は、話している内容が分かりさえすればよいので、クオリティ(音質)はさほど求められない。どんなレコーダーであっても大概は満足できるはずなので、好みで選んでも失敗はないだろう。強いて要求項目を上げるとすれば、ステレオ録音であることが望ましいくらい。大人数で話している場合などは、その位置で誰の発言かがよく分かるからだ。

 次に2は、自分や友人の楽器演奏などを録音するパターン。自分の練習を録音して後に反省材料として聴きたい場合、クオリティはそれほど関係なさそうに思えるが、音色の良し悪しまで把握したいことを考えると、できるかぎり良質な音で録音しておくに越したことはない。クラシック楽器は言うに及ばず、バンド系の演奏であっても、それなりの音質で録音しておけば今後の課題も数多く発見できるはず。

 ライブCDやデモテープを作ろうと考える場合には、できるだけ高音質で録音しておきたい。理屈は「音のよいCDはMP3にしても音がよい」と同じ。最終的にCDクオリティ以下に落とし込むとしても、良質な録音は最終的な音に反映されるからだ。こういった活用を想定している場合は、サイズや外見よりも音質を優先して機器を選ぼう。

 3のケースもまったく同じ。環境音として山野や乗り物の音を録音する時も、サンプリング素材として楽器などの音を録る場合も、できるだけ高いクオリティにしておけば後々大いに役立つ。こちらも音質を優先して機器を選ぶことを薦める。

 さて、それでは具体的な製品を紹介しよう。ピックアップしたのは、録音クオリティにこだわった製品がほとんど。そのため一般的なポータブルプレーヤーに比べると、少々高額な製品が中心となっている。また紹介内容としては、製品の主立った特徴に加えて、記録フォーマットとメディアの種類、そして会話/音楽/環境音のいずれの録音にマッチするかを列記した。これらを参考にしつつ、店頭など実物を比較してお気に入りの1台を選び出して欲しい。

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