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進化した新Gシリーズ2代目――キヤノン「PowerShot G9」レビュー(3/5 ページ)

» 2007年08月21日 02時18分 公開
[小山安博,ITmedia]

使いやすさを極める細かい変更

 大きな機能向上はこのぐらいだが、そのほかにも細かな機能向上は多い。シャッタースピード優先/絞り優先モードで使える「セーフティシフト」機能は、マニュアルモード時は、露出アンダー時にAEロック/FEロックボタンを押した時に動作するようになった。シャッタースピードか絞りのどちらか一方を設定してAEロック/FEロックボタンを押せば、自動的に適正露出になるので、使い勝手がよくなった。

photo マニュアルモード時のセーフティシフト。絞りかシャッタースピードを設定したあとAEロック/FEロックボタンを押すともう一方が自動的に設定される

 シャッターボタンを半押しした際に手ブレしそうなシャッタースピードだった場合に、イージーダイレクトボタンを押すとISO感度を上げる「ISOブースター機能」も搭載。通常はボタンを押す必要があるが、自動設定機能も搭載しているので、わざわざボタンを押さなくても手ブレしないようにISO感度を上げてくれる。

photo ISOブースターの設定画面。「自動」に設定するとカメラが勝手にISO感度を上げてくれる。設定を変えれば、イージーダイレクトボタンを押して明示的にISO感度を上げることもできる
photo ISOブースターを自動に設定すると、ISO感度が上がったときに上矢印のアイコンが現れる

 ホワイトバランスでは、従来の太陽光/くもり/電球/蛍光灯/蛍光灯H/ストロボ/水中/マニュアルに加え、マニュアル2が追加された。連続撮影では、通常の約1.5コマ/秒のほかに、約0.7コマ/秒で連写中もAFが可能な連写、ISO3200時の約3.5コマ/秒という高速連写といった連写機能を搭載。

 アクセサリーシューの搭載は従来通り。外部ストロボを接続できるが、外部ストロボの撮影機能サポート範囲が拡大。ワイヤレス多灯でのバウンスライティングを利用できるようになった。同社製ストロボ「スピードライト580EX II」を接続した場合は、さらにカメラとストロボで通信をして、カメラで設定した内容が反映されるようになった。

 ストロボボタンを長押しすると専用のストロボメニューが立ち上がるようになり、手軽にストロボの設定ができる。

 ほかにも、これまでExifの特殊な部分に記録されていたISO感度が、ようやく一般的な位置に記録されるようになったため、普通の画像ビューワーでもISO感度が表示できるようになった。

photophoto キヤノン純正ソフト以外でPowerShot G7のISO感度を表示できるソフトは少ない(画面はJpegAnalyzer)。Exifを見比べてみると、G7(右)とG9ではISO感度の項目が増えているのが分かる

 こうした機能向上は、文章にすると細かい部分だが、実際に使っているとかゆいところに手が届く感じで使いやすさを向上させる部分だ。

充実した基本機能と高い使いやすさが魅力

 カメラの基本性能は、おおむねG7を踏襲している。マニュアルモードをサポートしており、コントローラーホイールによるシャッタースピードや絞りの変更は使いやすい。ISO80〜ISO1600までダイヤル操作で変更できるISOダイヤルも健在で、これも使い勝手がいい。

photo 本体上部。G7との差異はない

 レンズは35ミリ判換算で35〜210ミリの焦点距離をサポート。F値はF2.8〜F4.8で、このあたりのレンズスペックもG7と同等。従来通り、レンズシフト式の手ブレ補正機構も搭載しており、シャッタースピードにして3段分の効果があるという。

 その他の通常の撮影機能はG7のレビュー記事を参考にして欲しい。

 いずれにしても、G9はキヤノンのハイエンドコンパクトデジカメとしてふさわしい高機能/高画質を追求しつつ、さらに使い勝手を高めた製品だ。G6までの開放F値F2.0スタートの明るいレンズ、バリアングル液晶は復活しなかったが、レスポンス的にも使えるRAW対応の復活、3.0型の見やすい大型液晶、フェイスキャッチテクノロジーのさらなる進化など、必要な機能向上は図られている。

 さらに細かいながらも使い勝手を高める工夫を随所に盛り込んでおり、「新Gシリーズ」の完成度を高めた形だ。不満点はないわけではないが、選択肢の少ないハイエンドコンパクトデジカメというジャンルの中では、誰にでもお勧めしやすい製品に仕上がっている。

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