――HDDVDもBDも再生機については5万円前後と低価格になってきました。「興味はあるけど見たことがない」という潜在的なユーザーも多数いるかと想像しますが、そうしたユーザー層を掘り起こすためにレンタルが開始される可能性はあるのでしょうか。
中瀬氏: 料金をどうするかは別として制度的な問題はありませんから、レンタル店が置いてくれるならば(レンタルを)やりたいと思っています。ただ、レンタルもビジネスですから、店舗側が「次世代DVDのレンタルはビジネスになる」と判断してくれないことには実現しないのではないでしょうか。
――DVDの普及期にはDVDソフトとDVDプレーヤーを同時にレンタルする店舗もありましたが
中瀬氏: これは私の想像ですが、VHSからDVDへ移行することで、おなじ棚でもより多くのタイトルを並べる事ができるという大きなメリットがありましたし、VHSよりも耐久性に優れているという特徴があったからではないでしょうか。
――これまではBDとHD DVDの双方でタイトルをリリースしてきましたが、数量としてはどちらの方が多く販売されているのですか? また、調査資料やメーカー発表を見ると次世代DVDソフトの普及スピードに日米差があるようにも感じますが、それはなぜでしょう。
中瀬氏: BD版とHD DVD版ではやはり皆さんが想像されるようにBD版の出荷の方が多いです。これは再生機・録画機の普及度が違うので仕方ないことでしょう。ただ、どちらの出荷数もDVDに比べればまだまだ小さなビジネス規模であると言えます。
日米差については、米国では「映画を見る」ことが日常的な行為であることに対して、日本では“ハレ”の行為、非日常であることに起因すると思います。日本の次世代DVDソフト市場は緩やかに立ち上がり、ゆっくりと伸びていくと予想します。
――先日、HD DVDの排他的支持を表明し、BD版は基本的には新たに出荷しない方針が明らかにされました。新作の「ザ・シューター/極大射程 スペシャル・コレクターズ・エディション」(9月21日発売)と「トップガン」(10月26日発売)もHD DVDのみでのリリースとなりますが、一陣営へのレコメンドは国内市場へどのような影響を与えるのでしょうか。
中瀬氏: パラマウント本社は、ハードの価格競争性が高い方が次世代の普及に貢献すると考え、今回の決定に至りました。弊社も本国の決定に伴い、HD DVDのみを出荷、発売していく事になりました。
今まで弊社のBlu-ray Discをご愛顧頂いていたお客様には、改めて御礼を申し上げます。また、お客様から頂戴したご意見、ご要望は、本社に申し伝え、お客様に喜んでいただけるような商品を手がけていきたいと思っております。
――これは究極的な質問になってしまうかも知れませんが、次世代DVDが普及するために必要な要件とは何だとお考えですか?
中瀬氏: 家が広くなること、でしょうか(笑)。次世代DVDソフトがいくら画質に優れているといっても、映し出すテレビが大型化しなければその恩恵は受けられません。大画面テレビがテレビのスタンダードになることが、まずは普及の第一歩ではないでしょうか。大画面テレビが家庭に入り込み、既存のDVDでは物足りないと感じ、感覚的に次世代DVDを求めるところまで市場が変化しないと普及しないのではないかと思います。
日本人にとって、コンテンツを消費することがまだまだ特別であることも影響していると思います。劇場公開の映画にしても「見に行く」ことはまだまだ非日常的なニュアンスを多分に含んでいますよね。映像にかかわる業界全体で、「コンテンツを消費してもらう努力」をしていくことが必要になるのかもしれません。
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