前回、最後に紹介したい「2画面プラン」について、今回はもう少し掘り下げてみよう。この提案は数年前、筆者のコラム「普段、小画面。時々、プロジェクター」で言及したものだ。
コラムを書いた当時は、まだ薄型テレビの単価が高く、50インチのテレビを勧めるのにも一般家庭向けとしてはかなり無理が感じられた頃のこと。
バラエティやニュースを見るには必要以上に大きく、一方で映画やライブコンサート、スポーツ中継を見るには、少々物足りない。どうせ大金を投入するのであれば、見るコンテンツを情報系とプレミアム作品系(あるいはスポーツ中継)などに分けてしまい、それぞれを投資効率の良いディスプレイで見ればいいというのが、2画面プランの趣旨だった。
しかしあれから時間が経過し、事情は変化してきている。
筆者宅の2画面プラン(2004年当時)
大画面テレビの価格は急速に下がり、今や50インチクラスのテレビも入手しやすくなった。加えて第1回でも書いたように、テレビドラマの撮り方もずいぶん変わった。以前は大画面過ぎると見辛いアップの切り替えが多かったものの、今は“引き”のカットで複数の登場人物を撮す場面が増えている。今後はドラマ以外の番組も、どんどんハイビジョン・大画面を意識した絵作りになっていくに違いない。
したがって映画ファン以外は、視聴距離に合わせて十分なサイズの薄型テレビを正しく選べば、投資に見合う満足感を1台の薄型テレビから得ることができるだろう。しかし、映画ファンは例外だ。とくに最近はシネマスコープサイズの映画が増えているから、余計に大きな画面が欲しくなる。
映画館で良い席を予約して座ると、左右方向の視野角が55〜60度ぐらいになる席が割り当てられることが多い。言い換えると、左右方向の視野角で55〜60度ぐらいが、本来、意図する映像に近いことになる。しかし、この数値を薄型テレビで実現するには、50インチや60インチ程度のテレビでは足りない。あるいは極端に近寄って見る必要がある。
加えて映画は、本来部屋を暗くして見ることを想定した映像の作り方をしている。映画が好き、作品としての映像を大画面で楽しみたい。そう考えるならば、テレビはそこそこのサイズにとどめておき、プロジェクターの設置が可能かどうかを検討してみよう。日常的なテレビ視聴には向かないプロジェクターだが、しかし映画の鑑賞では圧倒的に高い満足感を提供してくれる。
今年は手軽にポンと置くだけで大画面の映画を楽しめるプロジェクターも、より洗練された新機種が登場する予定だ。価格もDVDプレーヤー、スピーカー一体型で10万を切るようになり、プロジェクター導入のハードルが大幅に下がる見込み。そうした製品の併用も視野に入れて導入計画を立てよう。
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