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フルHD対応の小型デジタル“ビデオ”カメラ――Xacti DMX-HD1000レビュー(2/6 ページ)

» 2007年10月09日 08時30分 公開
[荻窪圭,ITmedia]
動画モードは全部で6つ。動画と静止画それぞれ選ぶ

 記録サイズは動画の場合Full-HD(1920×1080、60fps)、HD-HR(1280×720、60fps)、HD-SHQ(1280×720、30fps)、さらにVGAサイズ(TV-HR/TV-SHQ fpsは60fps/30fps)、QVGAのWeb用が用意されている。VGAクラスのワイド動画も欲しかったがそれは贅沢か。ちなみに、前モデル(HD2)の記録サイズは最高で1280×720/30fpsなので、かなり向上したのが分かる。

 動画の記録方式はH.264のMPEG-4ファイル(拡張子はMP4)。H.264の採用によって圧縮率が上がり、さらに画質もよくなった。同じカットを旧モデル「DMX-HD1」(以下、HD1)とHD1000で比べたので比較してみるといい。

左がHD1、右がHD1000で撮影したもの

 同じ1280×720サイズで撮影したものだ。比較対象が二世代前の製品とはいえ、ディテールの描写力がまったく違う。解像度を1280×720にそろえてもHD1000の方が高画質で60fpsの分動きも滑らかだ。ファイルサイズも結構抑えられるので、かなり優秀である。H.264のせいのみならず、映像処理エンジンを含めて全体にレベルアップしたためだろう。

 逆に静止画の画質は従来モデルの方がちょっといい。撮像素子がCCDからCMOSになったことと無関係ではあるまい。HD1000は全体に色に豊かさが足りず中間調が沈みがちだ。クオリティとしては、デジカメとムービーカメラの静止画の中間くらいか。

 もうひとつ、前モデルと大きく挙動の変わった点がある。動画撮影中に静止画を撮ったときの振る舞いだ。

 従来モデルでは動画撮影中に静止画を撮ると動画の動きが一瞬止まった。動画時は画素混合を利用して高速読みだし&高感度化を図っているのに対して、静止画撮影時は撮像素子をフルに使うため、そこで撮像素子のモード切り替えが発生するからだ。

 HD1000では動画撮影中にどれだけ静止画を撮っても止まらない。そのかわり、動画撮影中に撮れる静止画は動画と同じサイズになった。フルHDなら1920×1080だし(200万画素相当)、その下なら1280×720だ(90万画素相当)。まあ、撮影しながら動画のヒトコマをキャプチャしてると思えばいいが、このあたりも動画メインに設計し直したといっていい。プログレッシブ撮影なのでできる技だ。

 使い勝手としてはこちらの方が上。静止画の画像サイズは落ちるが、動画に影響を与えないのでいくらでも撮れるのだ。

 つまり、HD1000においては動画が完全にメインになっているのである。むしろ静止画の方がおまけっぽい。

フルHD動画を鑑賞するにはかなりの環境が必要

 Xactiは、最近の「Xacti 2.0」キャンペーンを見ても分かるとおり、パソコンユーザーを対象にした動画カメラという立場をはっきり打ち出していた。パソコンとの相性がいいので、すぐに取り込めるしすぐ編集できるしすぐアップできるというわけだ。

 HD1000の場合そうはいかない。H.264によるフルHD映像は再生だけでも、パソコンにとってかなり高い負荷となるからだ。

 例えば、従来はMP4ファイルをQuickTime(QuickTime Pro)で再生・編集できたが、本製品で撮影したフルHD動画はQuickTime 7.2ではうまく再生できない(いずれQuickTimeのアップデートで対応されると思うが、7.2の時点ではMac、Windowsともに再生できなかった)。

 製品に付属する動画再生環境「Nero 7 Essentials」(Windowsのみ)の「Nero ShowTime 3」を使えばフルHDで60fpsの動画を再生可能だ。

 さらに1920×1080ピクセル以上のディスプレイを使っているパソコンユーザーはまだ少ないだろう。ハード的にもソフト的にもフルHDを楽しめるパソコン環境はたいして普及してないわけである。

 そのかわり、パソコンレスで楽しむ環境は充実した。

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