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プロも満足する快適操作と多機能ぶり――ニコン「D300」デジ一眼レビュー(2/3 ページ)

» 2007年11月26日 11時00分 公開
[永山昌克,ITmedia]

2つのライブビューモードを搭載

 機能面では、高速連写とライブビューへの対応が大きなポイントになる。連写は、標準付属のバッテリー「EN-EL3e」使用時は最高秒間6コマで、オプションのバッテリーパック「MB-D10」を装着してバッテリー「EN-EL4a」などを使用した場合は最高で秒間8コマとなる。

 1台のカメラに2種類のバッテリーを使い分けるのは少々手間だが、少しでも高速で撮りたい向きに選択肢を用意したことはありがたい。スナップや人物、風景などの一般用途なら通常の秒間6コマでも十分に快適だが、スポーツや動物、鳥などの動体撮影を考慮するならオプションをそろえるといい。

photo ボディは防塵防滴仕様のマグネシウム合金製。シャッターは15万回のレリーズテストをクリアする

 ライブビューについては、最近のデジタル一眼のトレンドであり、ニコンの上位機が採用したことは当然の成り行きといえる。使い方は、まずボディ左上のドライブモードのダイヤルを「Lv」にセット。そしてシャッターボタンを1回押すと、内部のシャッター幕とミラーが開き、リアルタイムの映像を液晶表示できる。

 ライブビューのモードは「手持ち撮影」と「三脚撮影」の2モードがある。手持ち撮影モードでは、シャッターボタンの半押しまたはAF-ONボタンを押すことで、ライブビュー表示が一時的に中断し、通常の51点測距による位相差検出AFが機能する。そして合焦後、シャッターボタンを全押しして撮影を行う。

 一方の三脚撮影モードでは、ライブビュー中にAF-ONボタンを押すと、ライブビュー表示を中断せずに、コントラスト検出方式によるAFが機能する。コントラストAFは、撮像面でピントを合わせるので、理屈上は極めて厳密なピント合わせが可能になる。ただし、作動から合焦までの時間が遅いため、動体を含めた通常用途には向かない。だからこそ、カメラを三脚にセットして風景や静物をじっくりと撮るための「三脚撮影」モードと命名したのだろう。

photo マウントの右にあるプレビューボタンとファンクションボタンは、割り当てる機能をカスタマイズできる

 もっとも、じっくり撮るなら、この遅いコントラストAFを使うよりも、ライブビューの拡大表示を見ながらマニュアルフォーカスでピントを合わせるほうが手っ取り早くて現実的だと思う。ただ、それでも選択肢としてコントラストAFを用意したことは、カメラの進化としては評価したい。ちなみに、同じくライブビュー中のコントラストAFに対応した松下電器産業「LUMIX DMC-L10」の場合は、新開発の専用レンズ使用時のみという制約が生じるが、コントラストAFのスピードは実用性十分の速さである。D300の場合は、これまでのAFレンズを使えるが、コントラストAFのスピードは遅い。

 そのほかには、発色傾向を切り替えるピクチャーコントロール、撮影後に暗部の明るさを補正する「D-ライティング」、撮影時に階調を自動制御してダイナミックレンジを高める「アクティブD-ライティング」、移動する被写体にAFが追尾する3D-トラッキング、ローパスフィルターの振動でゴミを除去するクリーニング機能、HDMI端子によるハイビジョン出力などに対応。レンズやボディの個体差によるAFのバラツキを修正する「AF微調整」機能もある。

 実売20万円以上するボディ価格は中級モデルだと考えると少々高く思えるかもしれないが、プロユースにも適う内容の濃さと使い勝手のよさを考えれば、それだけの出費に見合う価値は十分にあるだろう。

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