ヒュンダイは、プロフェッショナル向け液晶ディスプレイの分野で有沢製作所の「Xpol」(エックスポール)を採用しており、2月に登場する民生用立体テレビも同様のようだ。Xpolは、「垂直インターリーブ方式」と呼ばれる3D表示システム。液晶パネルの表面に微細偏光素子を規則正しく配列させたフィルムを貼り、右目用と左目用の映像をインタレース化して同時に表示する。これを専用の円偏光メガネを通して見ると、偶数ラインが左目に、奇数ラインが右目に入り、立体的に見える仕組みである。
Xpolのメリットは、従来方式に比べて目が疲れにくく、また解像度や視野角も有利なこと。12月4日にパシフィコ横浜で開幕した「立体Expo」の会場に同方式のPCモニターが展示されていたが、立体感/画質ともに鑑賞に値するクオリティを持っていた(モニターはUWXGAのハイエンドモデルだが……)。
仮にフルハイビジョン解像度の立体テレビでBS11の映像を視聴すると、どうなるのか。有沢製作所によると、縦方向の解像度こそ540ピクセル(インタレースのため1080の半分)になるものの、横方向は1920ピクセルに伸張して表示されるため、見た目の解像度は1920×540ピクセル。ハイビジョンとはいえないまでもSD放送やDVDより精細になるという。
ただし、いくつかの疑問は残る。まず、映画館のような“非日常”を演出する場所ならともかく、民生用テレビとして販売するからには通常のテレビ映像もキレイに表示できなければならない。パネル表面の偏光フィルムは画質に影響を与えないのだろうか。
「確かにフィルムの存在によってパネル輝度が数%落ちる。しかし、現在の液晶テレビの輝度を考えれば問題にならないレベル。通常映像の視聴に支障はない」(同社)
また、ヒュンダイは立体テレビに米Dynamic Digital Depth USA Inc.(DDD)が開発した2D→3Dリアルタイム変換技術を盛り込むことも検討しているという。つまり、ほかのテレビ番組やDVDソフトまで立体視できる可能性がある。
もちろん専用に撮影された番組に比べれば不利で、コンテンツによっても向き/不向きがあるだろう。また偏光メガネの使用が前提になるから常用には向かない。それでもテレビの付加価値としては非常に面白いことは確か。子ども達はもちろん、大人も楽しめる製品になるかもしれない。
BS11では、同社の筆頭株主でもあるビックカメラと協力し、全国数カ所で年内にも「3D立体革命」のデモンストレーションを始める予定だ。具体的な日程や店舗など詳細は決まっていないが、40インチ超の“立体テレビ”が使われる見込み。まずはその画質を確かめたい。
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