レコーダーの分野における2007年最大の話題といえば、「次世代機への移行の本格化」だろう。家電量販店など実売データの集計で知られるBCNの報告によれば、レコーダー市場に占める次世代機の販売台数は、年前半が10%以下だったところが年後半に入り20%を超えているという。地デジ受信機の保有世帯率が3割近くなったことをあわせると、レコーダーにもフルHD対応の次世代機が求められるようになった、と考えられる。
Blu-rayとHD DVDの2つの陣営の争いという観点では、台数ベースで98対2とBlu-rayが圧倒的に優勢(BCN調べ)。Blu-ray陣営、特にソニーと松下は、早い時期から製品ラインアップの充実に注力、ハイエンドからエントリレベルまでをカバーしたことが奏功したといえる。
薄型テレビ同様、レコーダーの分野でも「リンク」が注目されている。前ページでも触れた東芝の「レグザリンク」や松下の「ビエラリンク」、ソニーの「ブラビアリンク」など、同じメーカーの製品であれば薄型テレビとレコーダーをHDMIケーブルで接続するだけで録画予約などの操作を一本化できるため、いまやレコーダー選びの重要なチェックポイントだ。
デジタル家電とPCなど異種機器間をつなぐプロトコル「DLNA」に対応する製品も増えてきた。11月に発売されたソニーのフラッグシップ機「BDZ-X90」は、DLNAサーバーとしての機能を備え、PCやテレビをDLNA端末として離れた位置から録画番組を視聴できる。
ケーブルの規格としては、いよいよHDMIが定番化した。エントリーモデルをはじめ大部分の機種に装備されるようになったほか、帯域幅を拡張するなど強化されたHDMI 1.3対応機種も登場。1080/24pの再生もサポートするため、来年以降HDMI 1.3を採用する機種は増えることだろう。
数字だけを見ると劣勢のように見えるHD DVDだが、12月に発売されたHD DVDレコーダー「RD-A301」への注目度は高い。HD DVD-R/-R DLメディアを読み書きできるという次世代機本来の特徴ではなく、DVDメディアに長時間のHD映像をH.264で記録するという、効率的な新規格「HD Rec」に関心が寄せられているからだ。
Blu-ray陣営でも、同様のコンセプトの「AVCREC」という規格が制定されたが、HD RecはDVDフォーラムの公式規格。しかもデジタル放送そのまま(TSストリーム)の映像とH.264の映像を混在できる。DVDに比べると次世代メディアはまだまだ高価なだけに、消費者のニーズを汲んだ新規格の今後に注目したい。
執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)
ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。
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