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ワーナー、BD選択の理由2008 International CES

» 2008年01月17日 15時56分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 次世代光ディスクをテーマに始めたハリウッドへの取材も、今年でとうとう5年目となった。ITmediaで「International CES」の取材に出かけ、その後、AV専門誌の「HiVi」(ステレオサウンド社)や評論家仲間でもある麻倉玲士氏とともにハリウッドへと出向くというパターンになってから数えてもすでに4回目だ。

 今回、もっとも大きなテーマとなっているのは、もちろん、ワーナーブラザースがHDビデオパッケージを今年6月からBDに一本化するという決定を受け、各社がどのような動きを取るのか? といった部分だろう。

 ただし、残念なことにHD DVDのみを支持するユニバーサル、パラマウントの両映画スタジオは、事前の取材アポイントメントこそ取れていたものの、ワーナーの発表を受けて取材がキャンセルとなってしまった。パラマウントからは“事情を察してほしい”とばかりに、丁寧な断りメールが届いたが、ユニバーサルからはワーナーショック以降、プッツリと連絡が途絶えてしまったのだ。

 理由は想像するほかないが、やはり「取材を受けたくないこと、それ自身が答え」ということなのだろう。

 これに対し、BDのみを支持してきた映画スタジオは、慎重な口調こそ崩さないものの、非常に積極的に将来のプランを語っている。これらに関しては2月18日発売のHiVi誌にリポートが掲載される予定だが、中でも一気にBDへと情勢が動く発端となったワーナーへのインタビューから、いくつかの情報を抜粋してリポートすることにしたい。

 取材を受けていただいたのは、ワーナーホームビデオ上席副社長でワールドワイドの高解像度メディアマーケティングを担当するドリンダ・マルチコリーナ氏。まず、ワーナーがBDのみを選ぶという判断を下すに至った理由を伺ったところ、以下の3つの要素すべてが理由になったと話した。

  • ソフトウェアの売上は北米でBDが60%、英国で70%、日本では95%以上を占めた
  • 再生可能なハードウェアの数は、北米でBDがHD DVDの4倍、日本では10倍に達した(PS3を含む)
  • 北米において12月、BDプレーヤーの方が100ドル高いにもかかわらず、2倍の数が売れた
photo ワーナーホームビデオ上席副社長のドリンダ・マルチコリーナ氏

 これらの情報をクリスマス商戦明けからまとめ、それを基に検討を行った結果、消費者が明確にBDを選んだという結果が出ているのだから、映画スタジオも1つのフォーマットを選ぶ時期だと判断した」という。1月3日には判断を下し、東芝やマイクロソフト、それにBD関係各社にも連絡を行い、4日にはニュースリリースを作成。夜になってニュースを発信した。

 東芝もプレーヤーの低価格化で、コンテンツベンダーにとってビジネスをしやすい環境を作ろうと、継続的に努力しているようだが? との問いには、「すでにHDビデオパッケージのビジネスにおいて、われわれは判断を下しました。DVDの頃から続いた東芝との協業関係は実りのあるものでしたし、技術企業としての彼らの努力は評価しています。HD DVDに関しても、いまだに評価できる部分はありますが、しかし消費者はBDを選びました。東芝とはまた別の分野において、良い関係を継続できればと考えています」(マルチコリーナ氏)。

 また、今後もVC-1をビデオコーデックとして採用する予定であること、リージョンコードは利用しないこと、年間最低80タイトルをリリースしていくことなども明言している。今年、北米でのHDパッケージビデオ市場を2億7500万ドル市場と見積もり、BDソフトの拡販につとめるという。

 ただし、HD DVDタイトルで積極的に採用していたインタラクティブ機能に関しては慎重な姿勢を崩さない。「BD-Javaはプレーヤーの機種間で非互換が生じる場合があるため、われわれはまだ積極的に採用を進めることができません。今後、BDへの一本化を行う上で、BD-JavaとBD Liveを活用したソフトを開発していくよう、ノウハウを蓄積していきたいと思います」(同氏)。

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