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» 2008年01月18日 10時46分 UPDATE

小牟田啓博のD-room:第16回 僕が新年に感じた“カン”で2008年を予測する

数々の端末を世に送り出してきたデザインプロデューサーの小牟田啓博氏が、日常で感じたこと、経験したことを書き綴る「小牟田啓博のD-room」。今年は十二支で言う始まりの年。魅力的なモノが登場してきそうな土壌作りが感じられた年明けだったという。

[小牟田啓博,ITmedia]

 新年あけましておめでとうございます。さぁ、やって来ました2008年。

 今年は子年ということで、新しい1年のスタートと同時に、十二支で言う始まりの年でもあるわけです。すなわち、12年に一度のリフレッシュしての幕開けですね。

 そういった意味でも、今年は昨年までに頑張ってきたことの成果が表面化しそうな、そんな予感がしています。……あっ、これ、特に根拠はありません。あくまでも小牟田の“カン”なんですけどね。

昨年は一見面白みのなかったケータイ業界だったけど……

sm08011601.jpg 昨年6月29日の発売から200日間で400万台が出荷されたというiPhone

 ケータイ業界は端末デザインという面では、昨年までちょっと停滞気味の感がありましたが、昨年暮れあたりから2008年は動きがありそうな予感やその前兆の気配がちらほらのぞかせています。

 ケータイ環境に目を向けると、ソフトバンクの「新スーパーボーナス」やKDDIの「au買い方セレクト」、ドコモの割賦販売などが次々導入され、2年間の長期契約が一般的になり、今後は市場が端末選びに対して慎重になってくることから、機能はてんこ盛りでデザインは中庸な、そんな一見面白みのない流れとなった2007年でした。

 しかし、例えば「iPhone」を研究し尽くした端末メーカー各社が、今年末あたりにかけてオリジナリティとインパクトのある端末を投入させてくるのではないか(いや、むしろ投入してほしいという希望的観測)と予測したいと思います。

 iPhoneを意識するという意味で、ハードとしてはタッチパネル端末の競争が面白くなってくると思いますし、インタフェースデザインといった観点でも、ハードとソフト、異業種とのコラボレーションなど、より明確なケータイのコンセプトや独自の世界観を打ち出すモデルが登場してくるでしょう。

 デバイスの面では、有機ELディスプレイを搭載した端末がますます増えてくるのかなと思います。すると、よりワンセグのニーズが高まるのでしょうし、地デジが普及してくると今度は防水機能がほしくなってくるし。……と、当然のように見えている流れをトレースするように、端末がじゃんじゃん出てくると楽しいですよね。

 全体的には、エンジニアリングとアイデアを中心とした健全で魅力的なモノが登場してきそうな土壌作りのスタート! とでも言ったらいいでしょうか。そんな機運を感じています。

東京オートサロンで感じた自動車業界の新しい動きとその勢い

 ケータイ業界のほかに、僕にとって特に自動車業界でいくつか期待したい事例が出てきています。先日、千葉県の幕張メッセで開催された「東京オートサロン2008」という、カスタムチューニングカーの展示会に足を運んでみました。

 非常に大盛況だったことに加えて、「D1(ドリフト)」の実車走行イベントが行われていたりと、新しい動きも感じられることができましたので、こちらでの感想も交えて自動車業界についても少し触れてみたいと思います。

 1つ顕著だなと感じたのが、例えば富士重工業(スバル)のインプレッサや三菱自動車工業の ランサーエボリューションX などの四駆ホットバージョンが相次いで登場し、世界最強ラリーカーの座を狙え! とばかりの勢いが注目を集めていたこと。

sm08011602.jpgsm08011603.jpg 三菱自動車ブースの様子。ものすごく多くの人を集めていました(左)。こちらはスバルのニューインプレッサ。世界各地でどんな戦いを見せてくれるのでしょうか

 また日産自動車から登場したGT-Rは、ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニといった世界のスーパースポーツカーを倒せと言わんばかりに、満を持して登場してきました。

 実際にこのGT-Rは、ドイツ・ニュルブルクリンクで世界最速のラップタイムを叩き出しているとのことなので、否が応でも期待は高まりますね。こういった世界最強を狙う動きというのも、日本のエンジニアリングの粋を集めた、世界が注目するケースと言えるでしょう。

 このGT-Rは、今までと違ってスカイラインブランドからは独立し、GT-Rというブランドでストレートに展開されることになりました。これは昨今のブランド重視の流れによるものだと思いますし、それだけ開発メーカーの思いが強いことのあらわれだろうと思います。

 これら3台が、オートサロンでは競技車両の本命と目されているのか、あちこちのブースでそれぞれのチューニングやドレスアップが展開されていたのが非常に興味深く、今後に注目していきたいと思いました。

sm08011604.jpg ニューGT-R。ドリフト番長とよばれる野村謙選手が乗るニューマシンも、このGT-Rになることが決定しているらしいです。ラジコンではドリフトが好きな僕としても注目したいマシンの1つです

 また、これら最強自動車の中でも特に興味を引かれるのが、プレイステーション3用シミュレーションゲームとして昨年末に登場した「グランツーリスモ5プロローグ」との完全コラボレーションを実現したGT-Rです。

 この2つは、実車もゲームも発売以前から、プロモーションでイメージリンクをしていたり、オンラインを利用した情報映像配信を行ったりしていて、クルマのホットニュースまでゲームのインタフェースを通じて入手できます。

 また逆に、グランツーリスモ5プロローグを開発したポリフォニーデジタル社が、GT-R本体のナビゲーションインタフェースの開発にも携わっているといった点も面白いと思いました。こうしたハイレベルなコラボレーションの動きを、僕は期待しています。

 この取り組みは、領域が広がれば広がるほど、深度が増せば増すほど、そのモノやサービスと付き合う我々ユーザーはわくわくできて、満足度が高まるものでしょう。

 今年はこういった動きが加速して随所に見られるのだろうと楽しみですし、僕自身もどんどん仕掛ける側としてがんばっていきたいと考えています。

学生たちの取り組みはモノ作りにとって素敵で大切なこと

 今回のオートサロンに出展していた車両の中で、僕が一番気に入ったのは静岡工科自動車大学校の石井先生と学生さんが製作したカスタムカー「紲(きずな)」でした。

 ベースとなっている車両はスズキのジムニーだそうで、ジムニーベースにキャロルのボディが乗って、ホットロッドのようなアメリカンテイストに仕上がっているのです。

 でね、その完成度が高いことはもちろんのこと、若い学生さんたちのセンスがいい! 実際にエンジンをかけてもらったわけではないのであくまで想像なのですが、ジムニーベースなので、エンジンは2サイクルだからそのサウンドはとてもほのぼのとして、このたたずまいにすごく似合うのだろうなぁと、思わず笑みがこぼれました。

 こういった若い人たちの取り組みを見ると、僕はとても将来が楽しみになってくるのですが、皆さんはいかがでしょうか。モノ作りの面白さ、素晴らしさを若い人たちがどんどん知って、理解して、新しいチャレンジをしてくれれば素敵なことだなぁって、うれしくなってきませんか。

sm08011605.jpgsm08011606.jpg どうですか? 学生さんの作品とは思えない仕上がりでしょ?  この独特のヒップにホワイトリボンのワイドタイヤの演出が微笑ましいですよね

 今年は一体どんなコトが起こってくるのでしょうかね? 冒頭にも申し上げたように、今年12年に一度のスタートの年です。12年に一度の新しい夢を、みんなで楽しく描いていきませんか。

 それでは、今年もデザインという角度からいろいろモノやコトを、楽しく眺めていきたいと考えています。本年もよろしくお願いいたします。

PROFILE 小牟田啓博(こむたよしひろ)

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1991年カシオ計算機デザインセンター入社。2001年KDDIに移籍し、「au design project」を立ち上げ、デザインディレクションを通じて同社の携帯電話事業に貢献。2006年幅広い領域に対するデザイン・ブランドコンサルティングの実現を目指してKom&Co.を設立。日々の出来事をつづったブログ小牟田啓博の「日々是好日」も公開中。国立京都工芸繊維大学特任准教授。


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