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東芝「RD-A301」のH.264トランスコードと「HD Rec」を試す(前編)(2/4 ページ)

» 2008年01月18日 14時48分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

H.264記録は現時点でダビング時のみの対応

 ソニー、パナソニックに次いで家庭用デジタルレコーダーに搭載されたH.264でのトランスコードだが、残念ながら現時点では録画に利用することはできない。ダビング時にトランスコードを行うことになり、トランスコード作業には録画時間と同じだけの時間がかかってしまう。したがってハイビジョン解像度での録画は常にMPEG2-TSでの録画となり、「とにかくハイビジョンで録り貯める」という使い方では、H.264(MPEG-4 AVC)で直接録画ができるライバル機に対して不利だ。

photo ダビングモードは5つが準備され、「画質指定ダビング」「ぴったりダビング TSE」でH.264トランスコードが利用できる

 もっとも、HDD内でのダビングも可能で、ダビング中に予約録画が開始されるとダビングは中止され、ダビング先が廃棄されてオリジナルが丸々残る。つまりHDD内ダビングが途中で中断されてもオリジナルを失うことはない。「HDDの空きが少なくなってきたな……」といった場合には、予約録画などをあまり気にせずH.264でダビングをしてしまえば良いわけだ。ただしHDD内部でのダビング中はほかの機能をほぼ利用できなくなるので、やはり直接録画に利用できないのが不便ではあることは否定できないだろう。

 なお、H.264での直接録画は後日アップデートで対応の予定となっており、マニュアルにも既に直接録画に関連した記述が散見された。東芝としても年末商戦には間に合わせるという事情もあっただろうから、アップデートまでに半年とか1年かかるといったことはないと思われる。

 H.264での録画は本機ではTSEモードと呼び、ビットレートは3.6〜17Mbpsを設定できる。しかも10Mbpsまでは0.2Mbps刻み、10Mbps以上では0.5Mbps刻みで細かく設定可能だ。また、H.264へのトランスコードはTSモードの録画番組でのみダビングとして実行可能。光学メディアへのダビング時にはビットレートを自動調整する「ぴったりダビング」もTSEモードで利用可能になっている。

photo 画質指定ダビングでは、個別指定で「TSE」モードを選択するとH.264トランスコードになる。「SP」の14.5Mbps、「LP」の6.8Mbpsに加え、「MN」では3.6〜17Mbpsの間でビットレートが指定できる

 では、さっそくH.264トランスコードの画質を見ていこう。TSEモードではプリセットとしては14.5Mbpsの「SPモード」、6.8Mbpsの「LPモード」のみが準備されている。TSをいわゆる最高画質の「XPモード」相当(もっともRDシリーズではXPモードという考え方がないが)とし、TSEはSPモードとLPモードという組み合わせの利用を考慮しているのだろう。

 評価では「SP」「LP」のビットレートの間隔が開きすぎているので、DVDメディアに約1時間の保存が可能になる9.2Mbpsと、TSEモードでの最低ビットレートになる3.6Mbpsを加えてH.264へのトランスコード行った。これにTSモード、VRモード(SD解像度)での9.2Mbpsでのエンコードも加えている。なお、使用機は昨年12月26日付けで公開されたアップデートを適用済みであることをお断りしておく。

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