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“プラズマカンパニー”からの脱却を目指す北米パナソニック2008 International CES(2/3 ページ)

» 2008年01月21日 12時20分 公開
[本田雅一,ITmedia]
photo 家族団らんをテーマにして“未来のビジョン”を語った「Life Wall」。指先で触れるだけで写真を額縁付きの絵画のように表示したり、景色を変えたりとインテリアをカスタマイズできる

 一方、家族団らんをテーマにして、各製品が結びついていくというメッセージは、今のところ北米のみの展開でワールドワイドでは使わないとのことだが、しかし北米で通用するコンセプトは、日本でも通用するはずだと北島氏は自信を口にする。

 ちなみに、坂本氏の基調講演テーマともなった“家族団らん”。これは実は北米で行ったユーザー向けキャンペーンから生まれたものだったというから面白い。

 北米パナソニックでは昨年、2万ドル相当のパナソニック製デジタル家電をキャンペーン参加に同意した一家にプレゼントし、それをどのように活用するのかを取材するというマーケティングプログラムを行った。坂本氏の基調講演に登場した、家族がプラズマテレビの周りに集まり、みんなで撮影したHDビデオを楽しんだり、写真を家族全員でテレビに映して楽しんだりといった様子の映像は”仕込み”ではなく、プログラムに参加した家族を取材した時の映像なのだという。

 「“Living in High Definission”という標語を掲げましたが、これは実際にユーザーが取った行動そのものなんです。フルHD対応プラズマテレビの周りに家族が集まり、みんなでデジタル機器を楽しむ。カメラ単体を使うだけではなく、カムコーダだけで終わるものもでもなく、それらがテレビとつながることで家族というコミュニティが活性化された。その現象そのものを訴えようと。高画質、さらに高画質と進化してきたけれど、HDの価値は高画質にあるだけでなく、皆がそこに集まることに意味があるという考え方です」(北島氏)。

 ここ数年は放送のHD化、ビデオパッケージのHD化、そしてテレビのフルHD化と、高画質化がスペックで語られることが多かったが、HDを楽しむ下地ができてきたことで、ではフルHD機器で何を提案しようか? という、具体的な提案ベースでの話題に中心軸が変化してきたとも言える。

2007年のクリスマス商戦

 一方、足下の業績に関しても北島氏からは、「クリスマス商戦は予想通りに改善された」と安堵の声が聞かれた。

photo 同社が発表した150インチのプラズマディスプレイ。すでに“いつ購入できるのか”との問い合わせが多い」という

 「昨年末の商戦期は台数、金額も一昨年と比べ二桁アップを達成しました。主な理由は42インチから50インチへと、主流のサイズが変化してきていることが大きい。以前は苦しんだプラズマへのネガティブキャンペーンも、購買層の裾野が広がったおかげで、プラズマか液晶か、方式で選んで購入する人が少なくなり、見た目と販売店のアドバイスで正しいテレビを選ぼうというバイヤーが増えたことで、さほど影響を受けなくなってきました。もちろん、販売店向けにプラズマの利点を訴求する活動は継続して行っています」(北島氏)。

 その一方で世界最大の103インチプラズマテレビも好評で、北米だけで3000台を販売。パナソニック製テレビのブランド力を下支えする要因にもなっている。北島氏によると、来年の商品化を予定している150インチプラズマディスプレイに関しても、「価格はまだ未定にもかかわらず、すでに“いつ購入できるのか”との問い合わせが多い」という。

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