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キヤノンの最終兵器? メモリ記録で小型化と高画質を両立させた「iVIS HF10」レビュー(3/4 ページ)

» 2008年02月12日 15時47分 公開
[浅井研二,ITmedia]

 コンパクト化にともなう撮影性能への影響は最小限にとどまっており、撮像素子(CMOS)のサイズこそ、1/2.7型(「HG10」「HR10」「HV30」など)から1/3.2型へとわずかに小さくなっているものの、有効画素数は動画記録時で207万、静止画記録時で276万(4:3)/207万(16:9)と変わらない(総画素数は331万)。

photo 動画再生モードでDISP.ボタンを押すと、タイムライン画面に切り替わる。各シーンの内容を大まかに確認したい場合や、シーンの途中から見たいときに便利な機能で、表示されるコマの間隔は6秒/12秒/30秒/2分/6分から選択可能だ

 実際に撮影した動画を見ても、描写力は従来どおりのたしかさで、コントラストが高く、細部までくっきりとした映像を提供している。サンプル画像では発色が派手すぎるように見えるかもしれないが、テレビに接続して再生した場合にはそうした感じはなく、鮮明さだけが際立つ印象だ。

photo 撮影時にFUNC.ボタンを押すと、各種マニュアル設定を行うためのファンクションメニューが表示される。また、再生時のファンクションメニューには編集機能が並ぶ
photo 再生対象のメディアを切り替えたい場合は、インデックス画面の上部にある内蔵メモリとSDカードのタブを利用する(右側の2つはプレイリスト)

 また、サンプル画像のうち“鶴岡八幡宮・舞殿”の画像については、「HDR-UX20」のものとかなり色合いが異なっているが、これはフルオート撮影時のホワイトバランス調整の差から生じたもので、むしろ、「HF10」のほうがフルオートでも夕方は夕方らしく描写してくれる。

 一方で撮影以外、つまり、再生や編集機能においては「HDR-UX20」に劣る点もある。再生時の早送り/早戻しは、5倍速/15倍速/60倍速の3段階が用意されているが、描画はあまり滑らかとはいえず、「HDR-UX20」のディスク再生時と同等のレベルだ。また、動画から静止画を切り出す際には、アクセスランプが消えるまで4秒ほど待たされる(UX20は約2秒程度)。

 さらに、編集機能に関しては、シーン消去とプレイリスト作成くらいで、シーンの分割などは不可能だ。「HF10/100」にはオプションとしてDVDライター「DW-100」(3月上旬発売)も用意されているのだが、本体でのシーン編集はできないので、丸ごとディスクへバックアップするしかないだろう。せめて「HR10」のように、プレイリスト上でのシーン分割に対応していればよかったのだが……。

 ただ、再生や編集の使い勝手に関しては、PC上でデータ活用を行う場合には、特に大きな問題にならないだろう。しかも、「HF10」の場合は、購入予定者のほとんどがPCへの取り込みを前提に考えているに違いない。ちなみに、付属ソフトウェアは従来のCorel Applicationsから「PIXELA ImageMixer 3 SE」へと変更されている。

 いずれにせよ、これほどのコンパクトなビデオカメラで、これほど鮮明かつ奥行きの感じられるHD映像が撮影できるというのは、それだけで十分に魅力的だ(撮影性能以外の点に難があるわけではない)。“キヤノンのメモリ記録型ビデオカメラ”をピンポイントで待ち続けていた人のみならず、幅広い購入層に対して有力な候補が登場したことは間違いないといえるだろう。

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