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「ハイビジョンで残す」時代のレコーダー選びバイヤーズガイド(2/3 ページ)

» 2008年02月15日 15時52分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

予約録画機能の違い

photo パナソニックのEPGは1画面で最大19チャンネル×12時間表示が可能

 多くの人が重視するであろう予約録画に関しては三者三様。パナソニックは原則として放送波別のラ・テ欄タイプ番組表からの録画予約だけとベーシックだが、電子番組表の1画面あたりの一覧性は最大19チャンネル×12時間と非常に高い。

 一方、ソニーと東芝は自動録画機能を備えているが、ソニーが番組ジャンル指定だけでも自動録画が可能なのに対し、東芝はキーワード設定が必須。ソニーがザッピング的にも自動録画が可能なのに対して、東芝はある程度特定した番組の録り逃しを防ぐ機能と思えば良いだろう。ただし、東芝の場合にはCATVチューナーとの連携機能が用意されていて、CATVチューナーで専門チャンネルを録画する場合には重宝する。

photo 東芝VARDIAはマジックチャプターも便利。ただしH.264に変換するとチャプター情報が無効になってしまう

 なお番組の放送時間延長やズレ、毎日/毎週といった繰り返し録画に関しては、どの製品もデジタル放送ならリアルタイム更新される番組表に追従して録画されるので、製品間の差異は小さい。ただし、再放送で1日1話だったり、2話だったりする場合には、ソニーや東芝の製品で自動録画機能を利用したほうが録り逃しは少ないはずだ。

 録画番組の管理に関してもパナソニックがもっともベーシックだが、繰り返し録画の番組は「まとめ表示」でひとまとめにしてフォルダ的に管理することも可能だ。ソニーはオートグルーピング機能でジャンル別、手動予約/自動録画別などさまざまな方法で一覧/並べ替えができる。高速なUIとあわせ、大量の録画番組から見たい番組を探す機能は非常に優秀といえる。

 明示的なフォルダ機能を持つ東芝は、録画予約時に保存先としてフォルダを指定する必要があるが、録画予約時に番組名を元にフォルダを作成することもできるため、積極的な管理を行う人には便利だ。

BD/HD DVDへのダビング

photo ソニーのタイトルダビング画面。録画をTS録画とH.264録画に統一することでBDに対してはすべて高速ダビング可能だ

 ダビング機能では、まずBDに特化したのがソニーで、録画をTS録画とH.264録画に統一することでBDに対してはすべて高速ダビング可能とした。逆にDVDに対するダビングは、すべてSD解像度で再エンコードしながらの等速ダビングと割り切っている。

 対してパナソニックは、TS録画とH.264録画はBDへ、H.264録画とVR録画はDVDへ、それぞれ高速ダビングも可能だ。ただし、レビューでも触れたようにDVDではH.264録画とVR録画を混在して指定した場合にすべてVR録画、つまりSD解像度に統一されてしまうといった分かり難さも抱え込んでしまった。

 東芝は、HD DVD/DVDメディアにすべて高速ダビングが可能であり、この点ではもっとも柔軟だ。しかし、現時点ではH.264による直接録画が行えないため、H.264でダビングを行うには等速ダビングを行うか、事前に変換作業を実行する必要があり、本来のメリットを生かしきれていない。

 結局、3製品ともなんらかの不便な点を抱え込んでしまっていると言える。

AVCRECとHD Rec

 パナソニックと東芝は、DVDメディアにもハイビジョンダビングが可能な機能を備えているが、それぞれ「AVCREC」「HD Rec」とフォーマットが異なるため、相互に再生互換性はない。HD Recは保存時間は短いがTS録画をそのままダビング可能な点と、ハイビジョンとSD映像の混在が可能で、柔軟性には勝る。

 ただし、どちらも記録したDVDメディアを既存のDVDプレーヤーでは再生できず、現状では“自己録再”が基本となる点には注意する必要がある。DVDメディアにハイビジョン番組を保存できる点はコスト的なメリットが大きいものの、これがメリットといえるのは次世代メディアとの価格差が大きい今後数年の間だけだろう。将来的な再生互換性までを考慮すると、それほどこだわるべき機能ではないと思う。

photo パナソニック「DMR-BW900」の画面。番組単位でのレジューム再生にも対応している

 全般的な使い勝手に関しては、機能がシンプルなぶん、パナソニック製品は分かりやすい。番組単位でのレジューム再生にも対応し、フォルダの概念を取り込むことで大量の録画番組の管理もかつての同社製品に比較すると容易になった。かつては「多機能だが操作が難解」といわれた東芝も、リモコンから1ボタンで呼び出せる機能を増やしたり、目的別に機能が並んだスタートメニューを装備するなど、単純に録る、見るといった使い方なら操作に戸惑うことはない。ソニーに関しては「XMB」と呼ぶUIは独特だが、最初に装備した「PSX」に比べて随分と洗練されている。動作が俊敏な点を替えがたい魅力と感じる人は少なくないだろう。

 3社の製品は、H.264対応の次世代DVDレコーダーという点で共通性はあるが、従来製品から継承した個性がはっきりしており、レコーダーの利用スタイルが確立している人は同列で比較しないだろう。H.264録画に関しては専用システムLSIを準備したパナソニック製品が画質的には少しリードという感もあるが、画質を最優先にするユーザーはどの製品を購入してもTS録画を利用すれば済む。H.264対応の製品においてもH.264以外の部分に目を向け、どの製品が利用スタイルに向いているかをしっかりと判断することが重要だ。

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