コラム
» 2008年02月18日 08時00分 UPDATE

小寺信良:携帯フィルタリング、やるべきはソコか? (1/3)

未成年者の新規加入に対する携帯フィルタリングが原則化された。事業者や当の子どもたちからの懸念もあるが、そこには「親」の立場からの意見がないように思える。それに、「まずはフィルタリング」でいいのか?

[小寺信良,ITmedia]

 総務省の要請により、2008年1月中旬から2月にかけて大手携帯キャリアでは、未成年者の新規加入に対する携帯フィルタリングを原則化した(携帯サイトフィルタリング、未成年者は原則加入に)。まだ新規加入のみの規制なので、それほど具体的な問題は上がってきていないようだが、4月の入学式シーズンには、晴れてケータイデビューする子供たちも増える。規制に対する本当の影響が現われるのは、その頃になるだろう。

 しかし今の段階ですでに、多くのコンテンツサービス事業者や学識経験者などから、このフィルタリングに対する懸念が噴出している。当の子供たちはと言えば、基本的には規制されることはイヤだろうから、結果的には誰も良しとは思っていないルールのように思える。

 すでに議論も始まっているところではあるが、筆者は何かそこに机上の空論的な空しさを感じてしまう。どうも議論をしている人の中に、「親の立場」の人がいないような気がしてならないからだ。

 筆者は、中学生の娘を持つ親の1人である。PTAの代表でもないので、親のすべての意見を代弁することができないが、少なくとも同年代の親よりは、ネットのことは多少詳しいだろうと思う。ここでは、議論に登ってこない親の視点で、携帯フィルタリングの問題を考えてみたい。

フィルタリングの実際

 筆者の娘には、小学校5年生ぐらいのころからPHSを持たせていた。小学校へはランドセル背負って人通りの多い駅前の道を通うだけなので、それほど危ないことはない。ただ塾などの習い事のときに、送り迎えの都合から連絡が取れないと困るので、持たせていたに過ぎない。

 ご多分に漏れず、娘にケータイを与えたのは、中学校に入ったときである。やはり噂に聞く着うたや、ケータイサイトなどをやってみたかったようだ。当時はフィルタリングサービスのようなものがあることを知らなかったので、そのままだったが、2年生で機種変更するときに、当時任意だったフィルタリングサービスに加入した。

 つまり1年生ではフィルタリングなし、2年生ではフィルタリングあり、という状況で現在に至っている。娘の使い方を見ていると、普段からケータイ用SNSなどはまったく利用しておらず、もっぱら調べ物に使っている。電車のルート検索だったり、言葉の意味だったり、天気予報だったり、そういう類のものだ。それだったらフィルタリングは関係ないように思えるが、ゲームやアニメ、ショップなどの情報検索はフィルタリングにひっかかるようで、時折不満を漏らしている。

 子供の情報アクセスに制限を加えたのは、これが最初ではない。小学校中学年ぐらいからPCを与えていたので、そこにフィルタリングソフトをインストールしていた。これは学年に応じてフィルタリングのレベルが変えられるものであったが、実際に調べ物をさせていると、該当レベルではほとんど規制にひっかかって何の情報も取れず、調べ物ツールとして成立しなかった。

 従ってうちではいつも、1ランク上に設定していた。つまり小学生のうちは中学生レベル、中学生になったら高校生レベルのフィルタリングである。しかしこれでも、親から見てこれぐらいは問題ないだろうと思うようなところで、結構規制にひっかかる。要するに遊びや娯楽といった系統だとオフィシャルサイトですら、ほとんどダメなのだ。それがあってか、次第に娘はPCを使わなくなっていった。

 規制も1つの理由ではあるのだが、それ以外にもPC離れの理由がある。実は今娘のPCは、フィルタリングがOFFになっている。しかし多分それには気づいていない。それぐらい現在はPC離れが進み、ケータイオンリーになってきている。それは基本行動が、そういう時間の使い方になってきたから、という部分が大きいように思う。

 例えば情報を引き出したいと思ったときに、家の中だとしてもポケットにあるケータイで、開ければすぐに検索できるほうが便利だ。PCだと休止状態から復帰するのも、それなりの「秒数」を待たなければならないし、なにしろPCはポケットに入らない。情報にアクセスするまでの手間と時間を考えると、もう既にメインの情報ツールは、PCではないのである。

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