ただし、SDのみ対応の「HDC-SD9」はさらに幅と高さが1センチ弱ずつ小さく、質量も110グラム以上軽い。小型軽量という面では「HDC-SD9」に及ばないととらえるか、60GバイトのHDDを内蔵したわりには最小限の差ですんでいるととらえるかは、ユーザーの用途や価値観にもよるだろう。
撮像素子は総画素数56万画素の1/6型CCDを3基利用した3CCD方式で、動画撮影時・静止画撮影時とも有効画素数は52万画素×3。画質については、輪郭周辺や暗部などに若干ノイズが目立ったり、ぱっと見の明瞭さではキヤノン「HF10」ほどではないかもしれない。ただ、その分、逆にコントラストや色合いにおいて強調された印象はなく、自然で見やすい映像だ。撮影する場面や対象にもよるが、解像感も十分にあるといえる。
ただ、静止画撮影に関しては、解像度が動画と同じ1920×1080に固定されており、圧縮率を2段階から選べるのみ。高精細な写真撮影にも活用したいというユーザーにはちょっと不向きだろう。一方で、写真撮影の新たな用途として、「HD高速連写」機能を搭載。メニューで「高速連写モード」を設定し、フォトショットボタンを押せば、秒間24コマの撮影(合計72コマ)を3秒間実行する。
「HDC-HS9」では「HF10」と同様に“24pデジタルシネマモード”での動画撮影にも対応しているが、HD高速連写の場合は単一ファイルではなく、連続したJPEGファイルとして保存されるため、用途によって使い分ければいい。ファイルの保存先はHDDまたはSDメモリーカードの「DCIM」以下となるが、通常の静止画ファイルとは別のフォルダに分けて入れてくれる。
撮影モードは、電源スイッチ兼用のモードダイヤルで「HDD撮影」「カード撮影」「再生」から選択。動画と静止画のモード切り替えはなく、「HDD撮影」または「カード撮影」で撮影開始/一時停止ボタンを押せば動画撮影、フォトショットボタンを押せば静止画撮影となる。動画撮影中の静止画撮影も可能だが、動画撮影を優先するため、品質はやや落ちる。また、撮影ずみの動画から静止画を切り出す機能は備えていない。
メニューの選択や撮影時のマニュアル設定など、多くの操作には「十字キー」を用いるのだが、液晶モニターを開いた部分に配置されているうえ、操作感覚が重くて使いづらい。ジョイスティックとは呼ばないだけあって(?)、軸が非常に短く、可動範囲も狭いので、思いどおりにちゃんと操作できているかどうかすら、いまいち分からないという感じだ。
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