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広角25ミリ+おまかせiAで持ち歩きが楽しくなる――パナソニック「DMC-FX35」レビュー(3/5 ページ)

» 2008年02月27日 16時02分 公開
[小山安博,ITmedia]

 とはいえ、数多くも用意されているシーンモードすべてを対象に自動識別と適用を行うわけではなく、FX35では撮影対象を5種類のシーンに判別し、各種設定を適用する。その5種類は「顔認識」「風景認識」「接写認識」「動き認識」「顔&夜景認識」で、一般的な撮影であればだいたいこの5種類があれば満足できるはずだ。

photo シーンが認識されるとiAのアイコンが変化する。これは接写認識時

 顔認識は、ポートレート写真などの人物撮影に適したモードで、画面内に人の顔があると顔検出が働いて最大15人の顔を検出、顔にAFや露出を合わせてくれる。被写体の顔が動いても自動追尾し、逆光でも顔が明るくなるように補正してくれる。精度は良好で、画面内にカメラを向いている人がいればたいてい顔認識となってくれるため、ピントの中抜けや逆光時の露出不足のようなミスは減るだろう。

 風景認識は、森の緑が色鮮やかに写るような補正をしてくれるモード。接写認識は、被写体に近づくと自動的にマクロモードになり、マクロに設定し忘れてピントが合わないといったミスが防げる。

 顔&夜景認識は、夜景撮影時に最適なモードで、画面内に顔があってフラッシュモードが発光禁止になっていなければ、スローシンクロ撮影で手前の人物と背景の夜景をきっちりと撮影できる。顔認識を併用するためピントが夜景にあってしまって人物がピンぼけしたり、フラッシュ光が強すぎて人の顔が白く飛んでしまったり、赤目になってしまうといったミスを防げる。

 フラッシュを発光禁止にしていると通常の夜景と認識し、夜景がきれいに写るように調整してくれる。しかも便利なのが、光学式手ブレ補正で使うジャイロセンサーを応用し、手持ちか三脚撮影かを判断してくれること。手持ちと判断すればISO感度を上げて手ブレを防ぎ、三脚と判断すれば、ISO感度は抑えてシャッタースピードを遅くしてくれる。

 動き認識は上記のシーンと判別されなかった場合の標準撮影モードで、インテリジェントISOが動作し、画面内に動くものがあり被写体ブレを起こしそうだとカメラが判断したら、ISO感度を上げて撮影する。

 これまでは既存モデルも備えていたが、FX35は新たに「暗部補正」機能を搭載している。写真を撮っていると日陰やフラッシュの届かない背景など、主要被写体は明るく写っても全体として暗く写ってしまう場合は多い。暗部補正は、この暗く写った部分を明るく補正して撮影してくれる、という機能だ。

photo おまかせiAモードで認識されたシーンは再生時にも活用される。認識されたシーンをカテゴリに分け、同じカテゴリの写真だけをスライドショー再生することが可能だ

 これは、暗い場所だけをピクセル単位で補正するため、たとえば写真全体のISO感度を上げた場合よりもノイズが少なく、写真全体の露出を上げた時よりもコントラストの低下が少ない、というのがメリット。

 おまかせiAの場合は自動的に暗部補正が働くので、特に何も考えずに利用できる。ただ、通常撮影時(おまかせiAを利用しないとき)はファンクションメニューから設定し、なおかつ、ISO感度を200以上するかISOオート(もしくはインテリジェントISOオート)にしておく必要がある。

 おまかせiAは、ありがちな失敗写真を手軽に防止ししてくれる便利な機能だ。サブカメラとしてコンパクトデジカメを持つような上級者でも、オート撮影よりも手間をかけずにきれいに撮ってくれるため、十分に利用価値がある。撮影シーンの判別制度は100%とはいえず、その判別速度もカメラを構えてから一拍おく感じでとっさの撮影では困るかもしれないが、一度使うと便利で手放せなくなる機能だ。

photophoto インテリジェントISOオートではどこまでISO感度を上げるか設定できる(左)、従来通りの選択式シーンモードも豊富に用意されている(右)

 コンパクトデジカメは毎年のように新たなトレンド(機能)が登場している。光学式手ブレ補正だったり高感度撮影だったり、顔検出だったりとさまざまだが、同社に加えてキヤノンやソニー、カシオ計算機も同種のシーン判別機能を新製品へ搭載しており、現時点では、今年のトレンドはこのおまかせ機能になりそう。人に向けたら顔検出、近づいたらマクロ、というだけでも便利で、今後どこまで発展してくれるかが楽しみだ。

 DMC-FX35はは25ミリスタートの広角レンズで撮影の楽しみを、おまかせiAで気軽な撮影を利用者へ提供してくれる。カメラは持ち歩いて使ってこそ、であり、そうした意味では本製品は「持ち歩いて使う気にさせる」、そんなカメラに仕上がっている。

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