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みんなが笑顔になるデジカメ――サイバーショット「DSC-W170」レビュー(1/6 ページ)

» 2008年03月06日 08時30分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 最近のコンパクトデジカメ界は実に面白いことになってきた。画素数競争やブレ防止競争が踊り場にさしかかり、いよいよ「いかにカメラが賢くなるか競争」に入ってきたからだ。カメラが賢くふるまい、いかに撮影をサポートするかである。

 その代表が「顔認識機能」であり「自動シーン認識機能」であり、さらには今年流行の暗部を上手に持ち上げたりハイライト部を抑えたりすることで「ダイナミックレンジを広く見せたり、逆光や影になった被写体を明るく見せる」技術だったりする。各社、アイデアと技術のみせどころなのだが、ソニーは新製品の「DSC-W170」(以下、W170)になかなか面白いネタを投入してくれた。

「DSC-W170」。Wシリーズらしいオーソドックスなデザインのボディ。光学ファインダーも装備している。ボディサイズはキヤノン「IXY Digital 910IS」(以下、910IS)などとあまり変わらない

 ひとつは笑顔を認識してシャッターを切る「スマイルシャッター」。2007年秋冬モデルから搭載されたこの機能はより洗練され、使い勝手がよくなった。これは面白い。さらに顔認識系の新機軸として「大人と子ども」を区別してくれる機能も新たに搭載してきた。

 もうひとつは自動シーン認識。これは「人物」「風景」「逆光」「夜景」などを自動的に判別してくれるもの。機能としては2007年にパナソニックが“LUMIX”「DMC-FX33」などで先んじたが、サイバーショットにはソニーらしいアイデアが入っている。

 さらに、以前から搭載している「ダイナミックレンジオプティマイザー」。これらはデジタル処理のたまものといっていい。今回は特に「顔」関係を中心に、知り合いの母子をつかまえてあれこれ試してみた。

広角系のオーソドックスデジカメ

 サイバーショットといえば薄型でレンズカバーが電源を兼ねるTシリーズがメイン、Wシリーズはオーソドックスな廉価版という位置づけだった。ただ、これからは「薄型スタイリッシュのT」と「オーソドックススタイルのW」と分けた方がよさそうだ。

レンズはテレ端で一番伸びた状態。上面にシャッターと電源スイッチがあり、オンのときはリング状に光る(左)。電源を入れるとレンズがせり出してきて約1.5秒で撮影可能になる(中、下)
側面から。液晶ディスプレイ部が少し飛び出している。レンズはワイド端の状態

 特にWシリーズのハイエンドであるW170は、これまでの廉価版というイメージを吹き飛ばしてくれる。沈胴式レンズはTシリーズの屈曲光学系では難しい「広角28ミリからの5倍ズーム」を実現し、背面にモードダイヤルを備えることで面倒なモード切り替えも簡単にしてくれた。ボディの質感も上がっており、背面のディスプレイも2.7インチで23万画素。廉価版という雰囲気は消えている。

 CCDは1/2.3型 有効1010万画素。レンズは28ミリから140ミリ相当(35ミリ換算)の5倍ズーム。広角から中望遠までをサポートしてくれる。明るさはF3.3〜5.2。ワイド側がちょっと暗いのが残念だが、光学式手ブレ補正つきである。さらに、別売オプションだがワイコンやテレコンを装着することも可能だ。

 撮影最短距離はワイド端で約10センチ。マクロモードも持っているが、通常のAF時でも自動的にマクロ域までフォーカシングしてくれる「オートマクロ」を装備した。これは面倒がなくてありがたい。ただ、撮影最短距離はもうちょっと短いとうれしかったか。

 ISO感度は80から3200まで。高感度時の処理は以前のサイバーショットより良くなっている感じだ。後述する「D-Rプラス」(D-Rはダイナミックレンジオプティマイザー)を使った場合は、ISO400がマックスとなる。

 ディスプレイはクリアフォト液晶で、別途光学ファインダーも装備。もうちょっと視野角が広いとうれしかったかと思う。

背面。円形十字キーの左下が再生モードに入る再生キー、右下はBGM付スライドショーを開始するボタン。右下のキーはカスタマイズ可能にして欲しかったと思わないでもない(露出補正とかISO感度とか)(左)。再生時の背面。画面に「iSCN+」と出ているのは、おまかせシーン認識アドバンスの状態。顔認識は「おとな優先」になっている(右)。
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