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快適ライブビューで味わうツァイスの描写――ソニー「α350」レビュー(3/5 ページ)

» 2008年04月17日 08時30分 公開
[永山昌克,ITmedia]

標準ズームレンズ3本の画質を比較する

 ライブビュー以外の面で、α350の大きな特徴といえるのは画像の精細感が高いことだ。撮像素子は有効1420万画素CCD。これは、APS-Cフィルムサイズの撮像素子としてはペンタックス「K20D」の有効1460万画素に次いで高画素のクラスである。A3プリントにもたえる解像感があり、被写体のディテールまできっちりと再現できる。以下の2カットは、1020万画素の「α200」と1420万画素の「α350」を同一条件で撮ったもの。道路標識や看板の文字などを見比べると、α350のほうがより細かく解像していることが分かるはずだ。

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photo 上はα200で、下はα350で撮影。レンズはキット付属の「DT 18-70mm F3.5-5.6」

 ただし、どちらのカットもシャープ感がやや不足している印象が残る。デジカメの画質を決めるのは、撮像素子と処理エンジン、レンズの3要素が特に重要だが、本機に限らず、1000万画素を超えるデジタル一眼では、レンズの光学性能の良し悪しがはっきりと表れやすいといえる。

 上の作例で使ったのは、レンズキットの付属レンズでもある「DT 18-70mm F3.5-5.6」(以下DT18-70mm)。価格の安さと小型軽量さは魅力だが、18ミリ側のシャープ感が乏しいのが弱点だ。かすみがかったようなソフトな描写になりがち。F8あたりまで絞り込むとシャープになるが、それでも周辺部には甘さが残る。標準から中望遠域ついては価格を考慮すればまずまずの写りといえる。

 より高価で高倍率の標準ズームとして「DT 16-105mm F3.5-5.6」(以下DT16-105mm)という選択肢もある。中級機「α700」のキットレンズでもあり、35ミリ換算で24〜157.5ミリ相当という広範囲をカバーしつつ、約470グラムと軽量にまとまっていることが特徴だ。16〜20ミリあたりの広角域の画質は、「DT18-70mm」よりもシャープネスやコントラストがワンランク上といえる。70〜105ミリ付近の中望遠域の画像は中心部は良好だが、周辺部に甘さが見られるのが惜しい。とはいえ、画質と使い勝手のバランスがよく、α350用にお勧めできるレンズのひとつ。個人的な愛用レンズでもある。

photo 左から順にDT18-70mm、DT16-105mm、DT16-80mm。それぞれ個性が異なる純正の標準ズームである。以下の比較作例は、すべてマニュアル露出モードを選び露出を統一。DレンジオプティマイザーはOFFで、クリエイティブスタイルは「スタンダード」を選択した

 さらに画質にこだわるなら「Vario-Sonnar T* DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA」(以下DT16-80mm)を選ぶのがいい。ズームの全域で開放値からシャープな写りとなり、周辺部までクリアで精細な絵を得られる。歪曲収差は多少見受けられるが、色ズレは目立たないよう補正されている。約10万円と高価だが、カールツァイスというブランド料ではなく、高画質に見合った価格といえる。

 以上の3本の価格やサイズ、重量、焦点距離、操作性は当然異なるので、作例を見て画質の優劣だけを語っても仕方ない。それぞれ個性的なレンズであり、それらのレンズごとの差を楽しめることが、高画素CCDを搭載したα350の魅力である。しかも、全レンズ手ブレ補正対応で、可動モニタ&高速AFのライブビューが使える。こんなデジタル一眼は今のところコレしかない。

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