どちらのダイナミックレンジ拡大機能は、ともにシーンによってはまったく違いが分からない場合もある。逆に言うと、常時設定していても画質やレスポンスで影響は受けず、必要な時だけ露出や白トビの補正をしてくれるアシスト的な機能といえそうだ。逆光時とストロボ発光時のアンダー露出の補正は比較的効果が分かりやすく表れる。本製品がメインターゲットにしている初心者層であれば、いずれもオンに設定しておいて良さそうだ。
ちなみに「オートライティングオプティマイザ機能」はオート撮影やシーンモードなどでは自動的にオンになるので意識する必要はない。
カメラの基本的な性能としては、有効画素数がKiss Digital Xの約1010万画素から約1220万画素にアップ。映像エンジンも最新のDIGIC IIIに進化した。連写枚数は従来の約3コマ/秒、約27枚まで(JPEG/ラージ/ファイン)から、約3.5コマ/秒、約53枚まで(同)に高速化。ただし、高画素化の影響かRAWの連写枚数は約10枚から約6枚に、RAW+JPEG(ラージ/ファイン)は約8枚から約4枚に減ってしまっている。
新機能としてちょっと便利そうなのが「セルフタイマー:連続撮影」機能。同社のコンパクトデジカメには搭載されている機能だが、セルフタイマー(10秒)と連写(2〜10枚)を組み合わせた機能で、セルフタイマー撮影時でも複数の写真が撮れ、ベストショットを撮りやすくなる。コンパクトデジカメの場合はセルフタイマーの秒数も選べるので便利なのだが、それでも三脚に設置して花火を撮るなど、タイミングを狙えば有効に使えそうだ。
ファインダーも新しくなっている。視野率こそ約95%とKiss Digital Xと変わらないが、倍率が約0.8倍から約0.87倍に向上。フォーカシングスクリーンはプレシジョンマットで、Kiss Digital Xと比べると明るく、ピントの山が見やすくなったように感じた。
F5.6対応のクロスセンサーとF2.8対応の中央センサーを採用した9点測距のAFセンサーは上位モデルのEOS 40Dと同等。ファインダー内でISO感度を常時確認できるなど、EOS 40Dの機能の多くを踏襲しており、エントリークラスとは思えない機能の豊富さだ。
Kiss X2は現在のエントリークラスのデジタル一眼レフが必要とするような機能をほぼもれなくカバーしており、エントリーユーザーだけでなく小型のサブ一眼レフがほしいような上級者でも満足できるような製品に仕上がっている。
欠点らしい欠点は見あたらないが、エントリー向けであることを考えるとやはりボディ内手ブレ補正が欲しかったところ。レンズ内手ブレ補正のメリットも分かるし、キットレンズの標準ズーム/望遠ズームに手ブレ補正が投入されたのはありがたいが、やはりボディ内手ブレ補正のメリットも捨てがたい。
レンズ内手ブレ補正+ボディ内手ブレ補正で効果がアップするとか、それが難しければレンズ内手ブレ補正の有無で、ボディ内手ブレ補正が自動でオン/オフするといった工夫が盛り込まれたらユーザーメリットは非常に高いわけで、キヤノンには検討を続けてもらいたいところだ。
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