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広ダイナミックレンジ機「FinePix S100FS」の実力を検証レビュー(2/4 ページ)

» 2008年05月07日 02時14分 公開
[永山昌克,ITmedia]

 FinePix S100FSのダイナミックレンジ拡張機能は、メニュー画面から設定し、「AUTO、100%、200%、400%」の4段階を選択できる。AUTOを選んだ場合は、カメラが撮影シーンを判断し、100〜400%の間で自動調整される。コントラストが強いシーンでは白飛びが抑えられ、逆に低コントラストのシーンでは拡張が行われず、適度なメリハリ感を得られる。

 通常の撮影ではAUTOの設定で構わないが、明るい部分の階調に特にこだわるなら、手動で200%または400%に切り替えるといい。例えば、日差しの強い屋外で人物を撮るケースや、白い雲や夕焼け空のグラデーションをきっちりと表現したい場合などに有効だ。

 何%を選ぶか判断に迷うなら、1回のシャッターで100%、200%、400%の3カットを連続的撮るダイナミックレンジ・ブラケティング機能を利用する手もある。注意点は、ダイナミックレンジをAUTO以外に設定すると、後述するフィルムシミュレーション機能が「PROVIA」に固定されることと、200%や400%のモードでは選択できる感度に制限が生じることだ。

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photophoto 左上から順に、ダイナミックレンジAUTO、100%、200%、400%で撮影。このシーンの場合、AUTO(左上)と100%(左下)の差はない

リバーサルフィルムの色調を擬似再現する

 FinePix S100FSのもうひとつの目玉機能といえるのは、フィルムを使い分ける感覚で発色傾向を選べるフィルムシミュレーションモードだ。用意されたモードは、スタンダードな色合いの「PROVIA」と、高彩度で高コントラストになる「Velvia」、階調重視で自然な色調の「ASTIA」、ネガフィルムに近いソフトな階調の「PORTRAIT」の4種類。

 このフィルムシミュレーションモードは、デジタル一眼レフ機S5 Proにも採用されているし、他社製品でも画質の傾向を切り替える機能は珍しくない。ただ「PROVIA」や「Velvia」、「ASTIA」という同社のフィルムの銘柄をそのままモード名に使ったのは、おそらく本機が初めてだ。これらのフィルムのユーザーにとっては親近感があり、色のイメージがつかみやすいといえる。

 デジタルとフィルムとでは、そもそも特性が違うのでまったく同じとはいかないが、画質の雰囲気を擬似再現していることは確か。撮影シーンや狙いに応じて4モードを切り替えて使うといいだろう。1回のシャッターで「PROVIA」と「Velvia」、「ASTIA」の3タイプを連続して撮るフィルムシミュレーション・ブラケティング機能もある。

 残念なのは、今のところ付属のRAW現像ソフト「FinePix Studio」ではフィルムシミュレーションの切り替えができないこと。FinePix S100FSはRAW撮影に対応するので、現像時にフィルムシミュレーションを変更するという使い方は当然考えられるが、FinePix Studioの最新バージョン1.0.1.5ではそれができない。ダイナミックレンジの後調整もできない。早急なバージョンアップをお願いしたい。

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photophoto 左上から順に、ダイナミックレンジAUTO、100%、200%、400%で撮影。このシーンの場合、AUTOと100%の差はない

photo フィルムシミュレーションの選択メニュー

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