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「ダビング10延期」はBDレコーダーにも冷や水デジタルレコーダー販売ランキング(5月19日〜25日)(2/2 ページ)

» 2008年05月29日 00時30分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 BDについてはHD DVDとの規格争いも終了したことから、次に買うならばBDレコーダーという消費者心理が形成されつつある。現在はまだ安価なクラスの製品でも実売では10万円を切るのがやっとであり、最新の映像コンテンツもまだDVDでリリースされるケースも多い。しかし、それらは時間がたてば解決する問題であり、総じて言えばBDレコーダーは市場における離陸時を迎えていると言える。

 もうひとつのダビング10については、正直なところ出口が見えなくなっている。

 当初は6月2日開始とされていたが、開始の条件として権利者側が求めていたHDDレコーダーなどへの私的録音録画補償金制度の適用についてJEITAなどが反発。5月に行われた文化審議会著作権分科会や情報通信審議会でも両者の溝は埋まらず、5月29日に行われる予定だった私的録音録画小委員会は、「一部の委員が、最終的な意見を表明する状況にない」(文化庁)ため、延期となってしまった。

 ダビング10の技術要件は既に完成しており、Dpaによれば受信機/録画機の室内テスト、放送衛星を用いた信号受信テストも完了している。対応をうたうレコーダーならばダビング10が開始されれば、放送波ダウンロードなどによるアップデートで、HDDから最大でコピー9回(+ムーブ1回)が可能と、録画番組の自由度は飛躍的に高くなる。デジタル放送のコピーワンスに窮屈さを感じていたユーザーにとって、これは大きな魅力となるはずだ。

 しかし、いくら「対応」とうたっても、現時点では「対応予定」に過ぎない。今回のデータ集計期間(5月19日〜25日)の時点で既にダビング10の開始延期が濃厚であることが各メディアにて報じられており、「新しいレコーダーの購入はダビング10が始まってからでもいい」と相当数のユーザーが考えても不思議はない。

photo ソニーは昨年冬からデジタルレコーダーをすべてBDレコーダーに切り替えた。写真は「BDZ-T50」

 ソニーは特に顕著だが、今夏のデジタルレコーダー商戦の目玉は各社ともにBDレコーダーだ。前で指摘した本体価格とソフトについては各社とも状況を織り込んだ上で製品展開を行っているはずだが、高画質・長時間の録画が可能なBDのメリットを生かせる新要素であるダビング10の開始時期決定がここまで延び延びになるとはメーカー各社も想像していなかったに違いない。ダビング10の開始延期は、今夏に本格的な離陸が目されていたBDレコーダーに冷や水を浴びせたといえる。

 ダビング10がいつ開始されるか――。今夏のデジタルレコーダー商戦はこの1点に大きく左右されそうだ。

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