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第5回:手軽さは一番、HDMIリンクも嬉しいヤマハ「YSP-600」サラウンドで北京五輪を堪能する(2/2 ページ)

» 2008年08月07日 20時45分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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ユーザビリティ

 「マイクを差して3分待てば極上のサウンドフィールドができあがり」という、カップラーメンでも作っているかのような手軽さは大歓迎だ。事実、セッティングはあっという間に終わってしまい、何の手間も面倒くささも感じなかった。

photophoto フロントパネルには表示部のほか、電源のオン/オフ、ボリューム調整、入力切替のハードキーが備わる。一番左にあるコネクタは測定マイク用(左)。自動音場調整「インテリビーム」専用のマイク。これ1つで手軽に質の高いサラウンドフィールドを得ることができる。この手軽は何よりもうれしい(右)

 HDMIリンクに関してはほぼ完ぺき。今回は公式に対応をうたう「VIERAリンク」対応の液晶テレビを利用したため、電源の連動オン/オフからボリューム調整はもちろん、入力ソースの切替(テレビからPS3など)にも連動し、ディスプレイに映ったソースへ音声を自動変更してくれる。HDMIリンクの便利さを切に感じさせてくれる1台だ。

 完璧なHDMIリンクのため、一般的な操作はテレビ側のリモコン1台でほとんどOK。付属のリモコンを使用するのは、サラウンドモードを変更するときくらいだ。とはいえこちらのリモコンはボタン配列がとても分かりやすく、使い勝手は上々。テレビやHDDレコーダーなどの基本操作も行えるマルチタイプのため、積極的に利用するのも悪くない。

photo リモコンはボタンが大きく数も多いうえ、よく整理されているので使い勝手はかなり良い。テレビやHDDレコーダー、DVDプレーヤーも操作できるのでこちらを積極的に利用する人も少なくないはずだ

サウンドチェック

 サウンドクオリティーは、末弟とはいえさすがは「デジタルサウンドプロジェクター」シリーズ。台詞もSE(効果音)も歯切れ良く、抜けの良いサウンドでありながら、映画などではびっしりの音に囲まれた充足感がある。

 しかも、このコンパクトなボディからは想像できないエネルギッシュさも持ち合わせている。とくに低音のボリューム感には驚くばかり。担当しているユニットが8センチ2本、しかも幅61センチというコンパクトなボディであることは、音を聞いている限りでは想像できない。充分な量感が確保されており、不足に思うことはまったくなかった。オプションとして別体のサブウーファーが用意されているが、ほとんどの人は必要性を感じないだろう。さらに解像度感も小口径ユニットを多数使用するという構成上、同価格帯のライバルよりもアドバンテージを持っている。見事な出来だ。

 一体型フロントサラウンドという性格上、後方からの音はそれほど強調されておらずフォーカスが甘くなるが、前面からの濃密なサウンドに目を奪われ、あまり気にならない。もっと強い“包まれ感”がほしい人のために「マイサラウンド」モードなどが用意されているが、確かに包まれ感は高まるが逆相要素を積極的に利用した擬似感の強いサラウンドのため、積極的に利用する価値は見いだせなかった。

 1つ残念だったのは、HDMI接続のリニアPCM 5.1/7.1チャンネル音声に対応していない点だ。このためPS3などではビットストリーム出力を選択する必要があり、しかもHDオーディオやリニアPCMの音声をフルに楽しむことができない(HDオーディオはコア出力となるが音は出る)。素晴らしいサウンドを聞かせてくれる製品だけに、これでHDオーディオが楽しめればと思う。次世代製品での対応に期待したい。

お薦めしたいユーザー

 手軽にサラウンドを楽しみたい。しかも設置は手間なく、音はそれなりに良く、予算はできるだけ低く抑えたい。そういったワガママ放題の人にも、YSP-600はしっかり応えてくれる秀作だ。多くの人が高い満足感を得ることだろう。

 なかでも、BDソフトはそれほど見ない、テレビやHDDレコーダーに録画した番組、DVDビデオなどが中心の人にはベストな選択肢となる。こういった質の良い低価格機で入門することによって、今後のホームシアター生活にも明るい未来が開けるはずだ。

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