――バックグラウンド・オーセンティケーションの際、テレビは複数台のソース機器を同時に認証していることになります。HDCPの公開鍵は機器1台に1個というのが普通ですが、複数の機器を同時に認証することができるのですか?
確かに、テレビが最初からHDMI端子の数だけ公開鍵を持っていれば問題ないのですが、それには(鍵の取得)コストがかかりすぎます。ですから、InstaPortには1つの公開鍵で“やりくり”する技術が含まれています。技術的にはここが大きなポイントといえるでしょう。
――InstaPort対応の製品は、いつごろ店頭に並ぶのですか?
今年7月からInstaPortに対応したHDMIポートプロセッサー及びインプットプロセッサーのサンプルを各メーカーに提供し始めました。HDMIポートプロセッサーでHDMIのスイッチチップを置きかえるだけでInstaPortの機能が使えるようになります。現在は各メーカーが評価している段階ですが、2009年の上半期には量産出荷を開始する計画ですから、来年には「InstaPort」ロゴ付きのテレビが店頭に並ぶことになることと思います。
これまでSilicon Imageは、自社の技術を積極的にアピールすることはしていませんでした。ただ今回はメリットの多い技術ですし、事前に大手流通各社から要望を受けていた技術でもあります。エンドユーザーにとっても分かりやすい技術ですから、ロゴを作ってテレビなどに付けてもらうことにしました。店頭でこのロゴマークのあるテレビを選べば、HDMIの切替時間にイライラすることはなくなります。
――Silicon Imageは7C(HDMIのファウンダーメンバー)の1社です。今後、InstaPort技術をHDMIの標準規格として提案する可能性はありますか?
それはありません。将来のHDMI規格については、7Cの中で色々と議論され計画されていますが、InstaPortはあくまでも現在のHDMI 1.3という規格の中で、新しいファンクションを追加するSilicon Image独自の技術という位置づけです。
InstaPortは、アナログ機器の時代には当たり前だった利便性をデジタル機器にもたらす技術だ。いくら映像や音がキレイになったからといって、利便性が下がることにユーザーは納得しない。製品を生み出すメーカーも同じ考えだろう。当たり前だったことを再び当たり前にできるInstaPortは、やはり当たり前のように浸透していく技術なのかもしれない。
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