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“ジーニアス”で“ナノ・クロマティック”なiPod新製品群、Appleイベント詳報ジョブズ氏が健在ぶりをアピール(1/2 ページ)

» 2008年09月10日 08時43分 公開
[鈴木淳也,ITmedia]

 9月9日(米国時間)、多くのAppleファンや音楽ファンが待ち望んでいたスペシャルイベントが、米国西海岸のサンフランシスコで開催された。「Let's Rock」と題された招待状で明らかになった同イベントでは、iTunesの最新バージョン、そしてiPod新製品の数々が紹介されている。

photo 2008年秋のスペシャルイベントが開催された米カリフォルニア州サンフランシスコ市内の「Yerba Buena Center of the Arts Theater」。「Let's Rock」のタイトルで送られてきた招待状と同じ図柄の垂れ幕が見える

充実したコンテンツとGeniusなプレイリストでiTunesを楽しむ

 今年の夏は死亡説や健康問題でニュースが配信されるのが定番となっていた米Apple CEOのスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏だが、イベントのステージに現れるとすぐにそれら記事をジョークで牽制、健在ぶりをアピールした。ジーンズにTシャツというラフなスタイルもそのままで、今回の目玉製品であるiPod nanoの紹介にあたっては、初代nanoのときと同様にジーンズの内ポケットから製品を取り出して観衆に見せるというアクションをとっている。

photophoto 今回の目玉製品である新型iPod nanoを観衆に見せるスティーブ・ジョブズ氏。もちろん、nanoを取り出したのはジーンズの謎の内ポケットの中からだ(左)。米国内で楽曲売上の上位5店舗ランキング。iTunes Storeがついに1位に(右)

 話題の中心はまず「iTunes Store」から。現在、同ライブラリには850万の楽曲、12万5000のポッドキャスト、2600本の映画、3000本のアプリケーションが登録されている。登録されたクレジットカードの枚数は6500万枚で、これだけで1つのエコシステムを構築している状態だ。同氏によれば、すでに楽曲などのコンテンツの売上でWal-MartやBest Buy、Amazonなどの競合を上回る水準に達しており、全米No.1の小売店の地位を確立したという。

 また動画コンテンツは、従来のSD画質のものに加え、新たにHD画質のコンテンツの配信準備も進めている。価格はレンタルの場合、SD画質で1.99ドルのものがHD画質で2.99ドルで、1ドルの上乗せで楽しめることになる。またNBCとの提携も発表しており、NBCが配信している「Battlestar Galactica」「Monk」「Heroes」といったTVシリーズの配信も開始されることになる。

 コンテンツの充実の次に来るのが、それを管理・再生するソフトウェアの改良だ。iTunesの最新バージョンである「iTunes 8」がアナウンスされている。基本的には従来バージョンと大きく変化はないが、UIの面で何点か改良が加えられている。その1つがコンテンツブラウズ時のタブ機能で、アーティスト別やジャンル別など、ビューの方式を簡単に切り替えて一望できるようになっている。

photo 進化したiTunes 8のブラウズ機能。アルバムリスト上にあるタブの部分に注目

 そして2つめの大きな改良がGeniusボタンだ。Geniusはユーザーから収拾したプレイリストやレーティングなどの情報をもとにAppleがiTunesのサーバで集計し、ユーザーがGenius機能を呼び出したとき、自身の持つライブラリにマッチした内容のプレイリストを自動的に呼び出してくる。収集されるデータはあくまで匿名ということで保護されており、あくまで「ユーザーの力でGeniusをより賢くする」(ジョブズ氏)のが目的ということだ。Geniusは週1回更新され、そのたびに新たなプレイリストを楽しむことが可能だ。

photophoto iTunes 8での新機能「Genius」を呼び出すボタン。右側に専用のメニューが出現し、生成されたプレイリストを確認できる
photo Geniusではユーザーのプレイリストやレーティングなどの情報を収集、それをiTunesのサーバで蓄積してユーザー側に新たなプレイリストとして結果を返す
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