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ヒトの本能をつんつん刺激する? 「ツッツキバコ」の正体(2/2 ページ)

» 2008年10月22日 14時45分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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触覚の錯覚

photo 製品企画やティーザーサイトを担当したバンダイ・プレイトイ事業部の近藤創氏。たぶん確信犯

 触覚の錯覚とは、実際には何も触っていないのに、触っているかのように誤って知覚すること。ツッツキバコの中は空洞になっているが、液晶画面のキャラクターたちを見ながら指を動かしているうち、指先にキャラクターに触れているような錯覚をおぼえるという。

 確かに、アメーバをぐりぐりしているときなどは、指先にグミのような柔らかいものに触れているような気がする。パンダをつついていると、指先がむずむずしてくる。もちろんツッツキバコの中には何も存在しない。

 「東京大学文学部・大学院人文社会系研究科の佐藤隆夫教授によると、脳には五感のバランスが不自然な状態のとき、ない部分の感覚を補って“つじつま合わせ”をする働きがあるそうです」。

 ツッツキバコで遊んでいると、人は指先の動きとして“中のものをつっついている”ことを自覚し、視覚からもそれと矛盾しない情報が脳に入ってくる。指先の感覚、触覚だけはゼロでも、指の運動感と視覚からくる情報が“つっついている”状態を強く示しているため、脳がつじつま合わせをして、ないはずの感覚――つまり本当に触っているような気がする“触覚の錯覚”を作り出してしまうという。この感覚は、実際にツッツキバコで体験してほしい。

photophoto ツッツキバコのステージ変更画面(左)。人の顔をつついたところ。指の動きや触れる場所によってリアクションが変わる

 こうした学術的な一面を併せ持ち、これまでの玩具にない遊び方を提案するツッツキバコ。キャラクターたちをつつきまわし、なでまわし、あるいはつぶしまくってそのリアクションを楽しむことで、癒しやストレスの発散になり、おそらくは人間のサディスティックな一面をも満たすこともできるだろう。さまざまな点で、人の性質を利用した新タイプの玩具であることは間違いない。

 「今後は、キャラクターたちを育成する要素も検討していきます」という近藤氏。将来の製品展開にも期待できそうだ。ただ、ティーザーサイトで意図的に“別の本能”を刺激したと思われる件については、最後まで何も語らなかった。

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