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» 2008年10月29日 17時51分 UPDATE

山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.26:パナソニックの新プロジェクター「TH-AE3000」で堪能するBD BOX「ゴッドファーザー」の色彩 (1/2)

今回はパナソニックの新製品「TH-AE3000」に迫ってみよう。今年の3LCDプロジェクターの画質改善ポイントはコントラスト。LCOSタイプに対して不利といわれ続けてきた“黒再現”を著しく向上させた。

[山本浩司,ITmedia]
photo パナソニック「TH-AE3000」。11月1日で価格はオープンプライス(実売総低価格45万円前後)。3系統のHDMI入力を持つ

 前回、前々回とBlu-ray Discレコーダーの力作モデル、パナソニック「DMR-BW930」とソニー「BDZ-X100」をとりあげたが、今回は、この秋個人的に注目しているプロジェクターの中から、自室でじっくり使うチャンスのあったパナソニックの新製品「TH-AE3000」(11月発売)に迫ってみたい。

 今年も年末までにフルHD解像度のプロジェクターが各社から次々に発売されるが、主な参加プレーヤーは6社。表示デバイスにLCOS(Liquid Cristal On Silicon)と呼ばれる「反射型液晶」を使っているのが、日本ビクターとソニー。ビクターはD-ILA、ソニーはSXRDと呼ぶ自社開発のチップをそれぞれ採用している。また、「透過型液晶」の3LCDタイプを表示デバイスとしているのが、エプソン、パナソニック、三洋電機、三菱電機。各社の上級モデルに採用されたチップは、三菱以外はエプソンから今年供給される0.74型倍速駆動対応の新D7タイプで、三菱のみより開口率の低いD6タイプが使われている。

 今年の3LCDプロジェクターの最大の画質改善ポイントは、ずばりコントラストだ。昨年エプソンが「ディープブラックテクノロジー」と呼んだ、プロジェクター内部の楕円偏光による光漏れを高精度に制御する「位相補償板」を全社一斉に採用し、LCOSタイプに対して不利といわれ続けてきた“黒再現”を著しく向上させている。

 今回とりあげるTH-AE3000も、「ダイナミックコントラストプレート」と呼ばれる位相補償板を液晶パネルの出射側に配置、プロジェクター内部の不要な光漏れを大幅に抑えることに成功し、昨年のモデル「TH-AE2000」に比べて、ネイティブ(素の)コントラストで約2倍強の改善を果たした。

 2004年の「TH-AE700」から採用され、専門家筋の評価が高い「ダイナミックアイリス」も引き続き搭載されているが、今回は光源の前に置かれた羽根絞りの形状を最適化することで約2倍弱の黒輝度低減を果たした。つまり、“静”のダイナミックコントラストプレートと“動”のダイナミックアイリスの合せ技。それに透過率を向上させた偏光フィルターの採用で、1600ルーメンの高輝度(AE2000は1500ルーメン)を実現することで、AE3000は6万:1(AE2000は1万6000:1)という驚異的なハイコントラスト・スペックを獲得しているのである。

 実際にAE2000と本機を見比べてみても、コントラストの劇的な改善は明らか。クリント・イーストウッド監督の「スペースカウボーイ」の宇宙空間をとらえたシーンなど、明らかに黒がよく沈むようになり、また星のきらめきもよりいっそう鮮やかだ。

 また、宇宙空間と宇宙船内の描写の切り返しを見ても、ダイナミックアイリスの動作に不穏なところはなく、じつに安定した映像を描き出しているのが分かる。高度な画像解析に基づいて、1フレームごとにボイスコイルモーターを使った絞りの動作とランプ光量、ガンマカーブを連動制御するというパナソニックならではの巧妙なダイナミックアイリスの素晴らしさを改めて実感するところである。

 コントラストに関していえば、わが家で愛用しているSXRD反射型液晶プロジェクターのソニー「VPL-VW200」と同じか、やや上回ると思えるレベル。透過型3LCDプロジェクターここまで来たか、という深い感慨を抱かせるコントラスト表現である。もちろん黒の再現力だけでプロジェクターの性能を評価するわけにはいかないが、「コントラストの良さは七難隠す」のも間違いないわけで、まずは専門店に出かけて、その性能向上ぶりを体験してほしいと思う。

映像モードの完成度に注目

photo エプソンのD7(第7世代)プロセステクノロジーを採用したフルハイビジョン対応0.7型高温ポリシリコンTFT液晶パネル(HTPS)

 さて、本機に採用された液晶パネルは、120・倍速駆動が可能なエプソン製の新D7タイプ。パナソニック独自開発のベクトル解析技術を盛り込んだ「フレームクリエーション」を採用、60枚/秒の画像情報から補間画像を新たに生成して120枚/秒表示を可能にした(映像ポジション「ノーマル」「ダイナミック」時のみデフォルトが「フレームクリエーション」オン)。この内挿処理により、動きの速いスポーツ番組などで液晶特有の動きボケが抑えられるというメリットが期待できる。

 「シネマ」「カラー」系映像ポジションの初期設定は「フレームクリエーション」オフとなり、2-3プルダウン処理された60p映画ソースは倍速の120・表示、24p映像は4等倍の96・表示となる。映画ソース入力時に「フレームクリエーション」をオンにすると、60p映像は一度24枚/秒の元画像に戻され、4フレーム分の補間映像を内挿して120・表示、24p映像については3フレームを生成して96枚/秒映像を表示する。

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