連載
» 2008年11月04日 10時27分 UPDATE

本田雅一のTV Style:もう「PS3」だけじゃない、低価格BDプレーヤー

高コストパフォーマンスのBlu-ray Discプレーヤーといえば、「プレイステーション3」。いまだに進化を続けるPS3が“お買い得”であることは間違いないが、この冬は同じ価格帯に専用BDプレーヤーが登場する。

[本田雅一,ITmedia]

 いいよ年末商戦がスタート。これまでに薄型テレビの新製品やBlu-ray Discレコーダーを紹介してきたが、BDソフトが徐々に充実してきたことで、映画や音楽、舞台などの映像ソフトのファンにも、フルHDプロジェクターやBDプレーヤーが勧められる状況になってきた。従来はどちらかといえばハードウェア先行だったが、今後は見たいソフトのために視聴環境を整えるという、本来あるべき形に市場が変化してくると考えられる。

 日本ではアニメコンテンツのBD化が進みつつあり、粘り強く新規タイトルが出続けている洋画に、少しずつではあるが邦画タイトルも増加してきた。さらに海外に目を向けると、映画ソフトだけでなくオペラやバレエ、それに各種コンサートなどの音楽ソフトが増えてきている。先日、香港に仕事で訪れた際、英国でBBCが販売しているオペラ、バレエを10タイトル程度、それに主に米国でリリースされているZZ Topなどのロック・ポピュラー系を3タイトル購入して帰ったが、いずれも映像と音質の面でDVDとは比較にならない。

 せっかく好きなソフトウェアに投資をして、所有しようというのであれば、もうDVDは選びたくないというのが正直な気持ちだ。映像が良くなっていることは見てのとおりだが、そこにCDを超える品位のサラウンド音声まで入っているのだから、コレクションの対象としては比較にならない。

 同じような気持ちは、まだハイビジョン映像の世界に入ってきていないAVファン、映画ファン、音楽ファンも同じなのだろう。

 この3連休、筆者は新製品の紹介イベントで司会の仕事をこなしたが、その際に来場者と言葉を交わすと出てくるとのは「そろそろBDプレーヤー、買ってもいいでしょうかね?」という質問だった。こうしたイベントでは、従来はハイビジョン放送の録画やDVDが使われていたが、筆者の場合はすでに8割以上が市販BDソフトとなり、残りもハイビジョン放送の録画。DVDは全く使わなくなった。そのため、最新のソフトに触れて“そろそろ”と実感しているのだろう。

 話を聞いてみると、典型的なユーザー像が浮かび上がってきた。

  • 720p対応プロジェクターやWXGAのテレビは持っている
  • 映像ソフトは主にDVDだが、今後はBDを優先して買いたい
  • レコーダーは使っているけれど光ディスクにはあまり残さない。好きな作品は録画ではなくパッケージで買いたい

 といった条件の中で、さてプレーヤーを買うべきか。それともディスプレイをフルHD対応にしようか? と迷っているのだそうだ。

 「どこが典型的なユーザー像なの?」という声が聞こえてきそうだが、DVDを中心に映像を楽しんでいる方々に限定すると、こうした状況にある人が少なくない。もちろん、一度にフルHD時代の機器に買い替えられれば、手っ取り早くBDを楽しむ環境は出来上がるが、当然、限られた予算の中では選択肢の幅は狭くなる。できれば1台ずつ時間をかけてそろえていきたいというのが本音ではないだろうか。

 こんな時は、相談してくれた方の状況を聞きながら、2つの方向からアドバイスをしている。

 上記のように、たとえフルHDでなくとも720p、あるいはWXGAなどの解像度を持つハイビジョン映像機器をすでに所有しているのであれば、その能力を生かすところから始めるといい。世の中、フルHD対応製品だらけで、買い替えたいという欲求が出てきやすいものだが、720pやWXGAのディスプレイでも、デジタル放送と市販BDソフトの差は歴然としてある。

 となると、発売から2年を経ていまだに進化を続けている「プレイステーション3」(PS3)がお買い得なのは間違いない。この年末までは専用Blu-ray Discプレーヤーにもかかわらず、BDソフトの動作が緩慢な製品が多く閉口したが、PS3ならばどんなに重いJavaソフトが組み込まれたBDソフトでも、サクサクと気持ちよく動く上、BDの画質も素直。DVD再生画質も輪郭描写のキレが良好で、BDやDVDの再生以外にも多彩な機能がある。

 ただし、PS3にはいくつかの弱点もある。まず最新モデルでも冷却ファンの音が気になる場合があること。狭い部屋で静かなドラマ系のソフトを視聴するなんていう時には、やっぱりもう少し静かなプレーヤーが欲しくなる。本体にディスプレイや操作ボタンがないことを嫌う人もいるだろう。子どものいる家庭の場合、ゲーム機をリビングに置きたくないという人も意外に多いものだ。

photo ソニーの「BDP-S350」は、「BD-LIVE」やHDオーディオのビットストリーム出力、24p出力などをサポートしたBDプレーヤー。オープン価格で、12月6日発売予定。店頭では4万5000円前後になる見込み

 しかし、今年はPS3に対して抵抗感がある人に対する解決策も用意された。「BDP-S350」だ。実売価格は4〜5万円とPS3並みの価格で発売される、はじめてのBDプレーヤーだ。映像や音の品質にこだわる向きには上位に「BDP-S5000ES」やパイオニア、デノン、マランツといったオーディオ・ビジュアル専門メーカーの高級機が控えているが、だからといってS350の画質が悪いわけではない。

 むしろ最新モデルということもあってか、基本性能はしっかりとしている。DVD再生の画質はPS3よりもS/N感が良く、ジャギーの発生もかなり抑えられて良好だ。輪郭描写はPS3の方がシャープだが、絵全体の質感はS350の方が落ち着きがある。手持ちのDVDも、まだ繰り返し見たい、レンタルDVDもよく借りるというなら、DVD再生が優秀という点は重要だ。

 一方、BDソフトの再生に関してはHDMI出力時の画質は、デコーダーの違いだろうか。PS3よりも色にコクがあり、細かなディテールもよく出ている。とくに傑出しているわけではないが、最低価格のBDプレーヤーという負い目を感じることはないだろう。加えてアナログコンポーネント出力に関しても、強調感なくあるがままに、良くいえば素直に出てくるのでノイズ感が少なく安心感がある。

 少し上の価格帯には、実売で約10万円のパイオニア「BDP-LX71」があり、S350はマニア層の話題にはなりにくい。こちらはまた別の良さがあるので、次回にでも詳しく紹介したいが、まず手元のHDディスプレイを生かすプレーヤーを手頃に手に入れたい……ということならば、S350のお買い得度は見逃せないだろう。

関連キーワード

Blu-ray | PS3 | ソニー | BD-LIVE


Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.