インタビュー
» 2008年11月07日 10時45分 UPDATE

インタビュー:「ライブビューだから……」はない、α350「クイックAFライブビュー」(後編)

AF用イメージャーを別途搭載するというユニークな方法で快適なライブビューを実現したソニーのα350/300だが、それによって浮かび上がった課題もあった。

[小山安博,ITmedia]

 もはやデジタル一眼レフでも珍しい機能ではなくなった「ライブビュー」。ファインダーをのぞき込まずとも、液晶画面でフレーミングができる取っつきやすさはコンパクトデジカメからのステップアップをはかるユーザーにとって大きな助けとなる。

 しかし、デジタル一眼レフの構造上、ライブビュー中に位相差AFを利用することは困難であり、大半の機種がライブビュー撮影中は(1)いったんライブビューを停止して位相差AFを使用する、(2)コントラストAFを使用する、(3)MFのいずれかを選択していた。

 そこに第4の選択肢として「AF用イメージャーを別途搭載する」という方法を提案したのが、ソニーのα350/300の「クイックAFライブビュー」だ。同様のアプローチはオリンパス「E-330」でも採用されていたが、現行機種ではα350/300が数少ない搭載製品となる。

 前回に引き続き、同社デジタルイメージング事業本部 AMC事業部 設計部 5グループグループマネジャーの黒崎雅彦氏と同2課 プロジェクトリーダーの漆戸寛氏に話を伺う。AF用イメージャーを別途搭載するメリットは「クイックAFライブビュー」として提示されているが、デメリットはないのだろうか。また、何が別途搭載に踏み切らせたのだろう。

photophoto デジタルイメージング事業本部 AMC事業部 設計部 5グループグループマネジャーの黒崎雅彦氏(写真=左)、同2課 プロジェクトリーダーの漆戸寛氏(写真=右)

――AF用イメージャーを搭載したことによる制約はあるのでしょうか。

黒崎氏: やはり多少の制約はあります。部材が増えているので多少重くなりますし、(ライブビューを搭載しない)α200と比べて50グラム重いのは、そのあたりの部材重量と関係しています。あと、ファインダーのサイズも多少小さくなります。

――ファインダー視野率100%は可能なのですか?

黒崎氏: 実現は可能だと思いますが、解決しなければならない課題もあります。一番は値段と大きさです。ペンタプリズムだと視野率100%は難しいです。今回は大きさをエントリー向けのサイズで実現しようとしたので大変でしたが、エントリー向けでは視野率100%は想定していませんでした。ガラスペンタプリズムを使うというのは検討課題ですね。

――AFセンサーを使わずに、ほかのカメラのようにコントラストAFを使うという選択肢もあったと思いますが。

漆戸氏: 開発初期の議論で“一眼レフとは何か”という話になり、その中で最も一眼レフらしさを表す部分は「AF」だという結論になりました。確かにコントラストAFという話もありましたが、位相差AFはピント合わせが高速ですし、コントラストAFの場合、ピント位置をサーチするのに一度通り過ぎてから戻って、という動作をしますので遅いと感じさせてしまいます。そのため、AFセンサーを別途搭載して、位相差AFを採用することにしました。

 α700の技術を落とし込んで、AF精度も高めています。ファインダーを使った撮影でできることは、ライブビューでも一通りできるようにして、ライブビューだからあきらめることがないように作り込みました。

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――ではAFセンサーを別途搭載するにあたり、何が最大の問題だったのでしょう。

黒崎氏: 製造段階で、ミラーの動きやライブビュー用のイメージャの配置で余計に手間がかかり、その辺りで苦労しましたね。

漆戸氏: 実際の撮影で使うイメージャと、ライブビュー用のイメージャの映像を合わせ込み、同じ見た目にするなどの部分でも苦労しました。

――デジタル一眼レフは、コンパクトデジカメからのステップアップ組が本格的に手にするようになってきており、そこで新たな課題も現れていると思います。この状況下で、どのような部分が今後の課題になると考えていますか。

黒崎氏: お客様には、“ソニー製品は小さい”というイメージがあるので、ボディサイズの小型化は課題ですね。

 ボディサイズを小さくできる可能性はあるのですが、光学部品は小さくすると性能が落ちてくるのですごく正直です。どうバランスをとるかを考えた上で、開発当時にベストと判断したのが、このサイズでした。

漆戸氏: スイッチ類も工夫しているのです。例えばスイッチを入れるとモーターが動作してオン・オフを切り替えるというデバイスもありますが、そこはダイレクトにメカ機構で動作させています。電気仕掛けで切り替えるとモーターに類するものが必要ですが、今回の仕組みではメカがシンプルになっています。ペンタ部にスペースがなかったというのもあります。

 一眼レフはバッテリーの持ち時間も重要ですので、一定サイズのバッテリーは必要になります。さまざまな性能を勘案した上で一番小さく、要求される性能を満たせるのがこのサイズでした。

黒崎氏: 実は、一番割を食ったのはストロボの設計でした。ストロボは本体後部を軸に開くのが普通ですが、(ペンタ部にセンサーなどを入れたため)そういう形が取れませんでした。そのため、スイングアップする形にしてストロボの機構全体を収めて、(ストロボ光が)ケラられないような工夫もしています。

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漆戸氏: ただ、エントリー層のお客様は多様化していて、本当に小さいものが欲しい人と、今まで通りの一眼レフカメラが欲しい層があります。世界で見ると、小さいものが欲しいという国ばかりではありません。この辺りが難しい問題ですね。

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