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» 2008年11月07日 22時04分 UPDATE

本田雅一のTV Style:ミッドレンジBDプレーヤーの注目株、パイオニア「BDP-LX71」

前回紹介したソニー「BDP-S350」は、低価格ながら充分な動作速度を実現しているが、画質や音質ではより上位のモデルに譲る。中でもパイオニアの「BDP-LX71」は注目の製品だ。

[本田雅一,ITmedia]

 前回、ソニーの低価格Blu-ray Discプレーヤー「BDP-S350」を紹介したところ、「BDプレーヤーとして見るとS350は飛び抜けて安いけれど、動作速度は遅いのでは?」という質問を頂いた。そのまま返信するだけでは、皆さんに伝わらないので、この連載の中でお答えしておこう。

 確かに過去に発売されたBDプレーヤーの中には、動作速度に問題を抱えている製品もいくつかあった。BDになって導入されたインタラクティブ機能を動かすには、高速なプロセッサと多くのメモリが必要になる。ゲーム用に高速なプロセッサやメモリを搭載する「プレイステーション 3」は、これらを軽々と処理しているが、家電製品のBDプレーヤーではなかなか難しい。映像回路や音響回路は品位を重視して専用に作り込めたとしても、プロセッサやメモリといった部分は簡単にはコストダウンできないからだ。

 しかし今年のBDP-S350に使われているプラットフォームは、昨年まで主流だったものから大きく世代代わりしている。プログラムを動かすメインのプロセッサだけでいえば、上位モデルの「BDP-S5000ES」と共通のもので、PS3と同じとまでは行かないものの、かなり“重い”BDソフトであっても、楽しむ上でストレスがたまるようなことはなくなっている。

 これは他社のプレーヤーも同じだ。今年発売のプレーヤーは、いずれもBD-Live(ネットワーク機能)やピクチャー in ピクチャーといったフル機能に対応している上、さらにストレスのないパフォーマンスを達成している。昨年、一足先に新しい世代のLSIへと衣替えしていたパナソニックのBDレコーダーやプレーヤー(プレーヤーは国内未発売)と同レベルの速度は出ている。

 もっとも、プレーヤーとして一番重要なことは画質だ。充分な速度が出ているなら、あとは画質、音質や操作性の面で優れているかどうかが評価の分かれ目となる。このレコーダー全盛期にプレーヤーを求める理由は、やはりAV機器としての品位であろう。

パイオニア「BDP-LX71」の良さはHDMIにあり

 上記のS350も充分な動作速度、それにフラッシュ再生(前後方向へのスキップ機能)を市販BDソフトでも実現しているなど操作性は良好だが、画質や音質ではより上位のモデルに譲る。中でもパイオニアの「BDP-LX71」は注目の製品だ。製品紹介サイトを見ると、さまざまなアピールがされているが、この製品の良さはズバリHDMI出力時の画質にある。

photophoto パイオニア「BDP-LX71」

 DVDやBDは市販ソフトといえども、階調情報は8ビットしか入っておらず、余分な加工をしようものなら、映像の情報量が減って平面的な描写になってしまう。そこでLX71では、内部映像処理により12ビット精度に高めた上で、映像デバイスの特徴に合わせた丁寧な質感表現を行い、拡張した情報を損なうことなくHDMIのDeepColorで出力する。

 主にはトーンカーブ、つまりガンマカーブを丁寧に最適化しているようだ。デジタルの表示デバイスには、方式やパネルそのものの固有の特性があるが、そうしたクセっぽさが目立ちにくいような絶妙の絵作りがされていた。

 プリセットの画質設定は、「LCD」(液晶テレビ)、「PDP」(プラズマテレビ)、「Projector」(プロジェクター、主にLCOSプロジェクターが対象)といった一般的なディスプレイタイプに加え、「Pioneer PDP」と「Professional」の5モードがある。これを「ビデオアジャストモード」といい、接続するディスプレイに合わせて絵作りがガラリと変わるのである。Pioneer PDPはパイオニア製プラズマテレビ/ディスプレイの昨年および今年のモデルを対象としたモードで、Professionalは映像評価用の最もクセを抑えたモードになる。

 さらに掘り下げると13もの調整項目があるのだが、それぞれのモードを切り替えるだけでも、充分に手持ちのディスプレイをいかせると思う。筆者がLX71の評価を行ったのは10月中旬で、LX71はほぼ完成に近い状態だったが、とくにPioneer PDPとProjectorの両モードの描写は素晴らしかった。

photophoto 映像モードの切替画面(左)。掘り下げると13もの調整項目がある(右)

 Pioneer PDPでは、高コントラストのパイオニア「KURO」シリーズに見られる、やや硬質な画調に柔らかさが加わり、メタリックな質感がとれてくる。決してローコントラストにしているわけではなく、絵の質感表現力を補うような調整だ。

 一方、Projectorモードでも固定画素プロジェクターでは得がたい柔らかさを表現してくれるが、加えて黒に近いシャドウ部のトーン、それにハイライト側で白に飛ぶ直前のトーンが、とても滑らかで丁寧な描写になる印象だ。Pioneer PDPよりもさらにソフトなタッチだが、映画ファンにはピッタリの画質モードといえるだろう。

 このようなアナログ時代に見られた画質チューニングのテクニックを生かすには、前述したようにDeepColorでの接続が望ましい。DeepColorオフ、すなわち8ビット階調出力時にも、ビデオアジャストモードの効果は現れる。しかし、DeepColorオン時の方が、パイオニアによる画質調整の絶妙なタッチをより深く楽しめると思う。

 アナログ音声出力の質に関しては、品位そのものは低いわけではないのだが、やや薄く軽い印象を受けた。とはいえ、これだけの高画質で10万円というのは、ほかのメーカーにとって迷惑といえるほどのバーゲンプライスである。15万円ぐらいの実売価格で売ってもおかしくないデキだ。

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