インタビュー
» 2008年11月12日 10時00分 UPDATE

ライバルはPSP、NDS、携帯電話?:iPod touchはゲーム業界に新風を吹き込むか

ハードウェアとしては小さな変化だった新型iPod touchだが、App Storeの本格稼働に伴い、大きな変革の時期を迎えている。専用機と携帯電話の独壇場だったモバイルゲームの世界にも存在感を増していきそうだ。

[渡邊宏,ITmedia]
photo お気に入りのゲームは「SimCity」だというスタン氏

 9月にラインアップを一新したiPodシリーズ。既存モデルに比べ大きな変化を遂げたiPod nanoに比べると、その変化がやや地味に感じられるiPod touchだが、App Storeの本格稼働に伴い、大きな変革の時期を迎えている。

 iTunes StoreからアクセスできるApp Storeはいうまでもなく、iPod向けのアプリケーションが多数用意されているオンラインストア。ユーティリティから電子書籍、教育などさまざまな分野のアプリが用意されているが、現在最も人気のあるジャンルはゲームだという。進化したiPod touchと充実するApp Storeの組み合わせは、PSPやニンテンドーDS、はたまた、携帯電話向けゲームが大きなシェアを握る日本にどのように切り込んでいくのか。

 来日した米Appleのスタン・イング氏(ワールドワイドプロダクトマーケティング iPod担当シニアディレクター)に話を聞いた。

イング氏: iPodはこれまでに1億台以上を出荷し、ポータブルプレーヤー市場において、アメリカで70%、日本でも60%を越えるシェアを得る製品にまで成長しました。加えて、ホリデーシーズンを間近に控えた9月に新製品群を発表できたことをうれしく思います。新しいiPod touchはラウンドした美しいフォルムに3.5型という大きな液晶を搭載した、素晴らしい製品だと自負しています。

 App Storeでは既に6000以上のアプリケーションが提供されており、開始100日で2億ものダウンロードがなされました。ユーザーからも高い評価を得ています。そして、1500以上のタイトルがリリースされていますが、成長著しいジャンルがゲームです。わたしは、新しいiPod touchがゲームプラットフォームとしても高い能力を秘めていると考えています。

 その理由は2つあります。1つはPSPやニンテンドーDSといった、携帯ゲーム機に比べ非常にコンパクトかつスリムなことです。厚さもわずか(8.5ミリ)でポケットへスマートに収まります。そしてもう1つはマルチタッチインタフェースです。このユーザーインタフェース(UI)によって機器の操作も容易になっていますが、ゲームディベロッパーからは、新しいゲーム用UIとして評価されています。これまでのゲーム機はボタンというUIに縛られていましたが、マルチタッチインタフェースによって、いろいろな操作や感覚を反映できるようになります。

photo 新型iPod touch

 加速度センサーの搭載も重要です。任天堂「Wii」にも加速度センサーは利用されていますが、本格的なマルチメディアポータブルデバイスへ搭載したのはわたしたちが初めてだと思います。マルチタッチインタフェースと加速度センサーによって、これまでにない体験をユーザーへ提供できると考えています。

イング氏: App Storeでは、革新性に富んだ販売が可能です。PSPやニンテンドーDSのゲームソフトは店舗へ足を運んで購入する必要がありましたが、App Storeならば24時間、いつでも好きなときに購入できます。ゲームディベロッパーからすれば、世界中のApp Storeでアプリを販売できるという流通面でのメリットもあります。

 オンライン提供することで、いつでもアプリのアップデートが可能なこともユーザーに有益だと思います。いつでもアプリが「進化」するのです。購入したアプリが進化していくのは、オンラインのApp Storeで販売されているからです。

――日本の携帯電話向けゲームは世界的に見ても非常にリッチがものが多いと思いますが、それについてはどのように考えていますか? また、App Storeで販売されているアプリの価格は、日本市場の携帯電話/携帯ゲーム機用ソフトに比べて適正な価格だと思いますか?

イング氏: マルチタッチや加速度センサーを使った、革新的なゲームのクオリティを体験してもらえれば、それらが良いものであると必ず感じてもらえると思っています。先ほど説明したように、既に多くのゲームソフトがダウンロードされており、それはすなわち、ユーザーから支持されていることといえないでしょうか。

photo

――10月にはスクウェア・エニックスがiPod touch/iPhone向けゲームへの参入を表明するなど、徐々に国内ゲームメーカーも参加しつつありますが、App Storeでのソフト販売方法は「1本○○円」という売り切りスタイルだけなのでしょうか。利用期限の区切られたレンタル方式や、日本の携帯電話ゲームでよく利用されている月額課金方式は用いられないのでしょうか。

イング氏: 2億ものダウンロードが行われているという事実は、今後、新しい可能性がありえることを示していると考えます。今現在、「こうだ」と言い切れることは少ないのですが……。

――SCEは10月にPSPから直接オンラインストア「PlayStation Store」へアクセスできる機能をファームウェアアップデートで実装し、任天堂も同様のサービス「DSiショップ」を開始する計画であることを公表しています。「無線LANでゲームを購入する」という流れが生まれつつあることをどう思われますか。

イング氏: 無線LANで本体へ直接ダウンロードする、あるいはPCを介してダウンロードするという仕組みはiPodだけのものです。残念ながら他社サービスついてコメントすることはできませんが、他社に先駆けたリーディングカンパニーであると自負しています。

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